美しく暮らしを整える生活哲学家

辰巳さんの顔写真

くらしスペシャリスト#013生活哲学家辰巳 渚さん

Prev

Vol.6 家族みんなで行う家事が、
家族をもっと1つにするコミュニケーション

家事はとかく、お母さんが中心となって行い、お手伝いもお母さんのルールに家族が従う、といった図式になりがちです。でもそれでは、なんとなくうまく回らず、みんなが不満を抱えているといった結果に陥ることも。そこで最終回となる今回は、家族みんなが幸せになる家事のあり方と、家族と地域の関わりについてお聞きしました。

自分と家族の“気持ちいい”は違うと心得て、みんなが守れるルールをつくる。

辰巳さんが「家事塾」の生徒さんとの学びを通して気づいたこと、それは「自分にとっての“気持ちいい”が、ほかの人にとっての“気持ちいい”とは限らない」ということです。例えば食器を棚にしまうとき、ご主人は「奥まできっちりしまうとスッキリする」と思うのに対し、奥さんは「手前に置くと取り出しやすく、家事がはかどる」と思うかもしれません。でもお互いそれを言わなかったら、その違いに気づかないまま「なんで、きちんとやってくれないんだろう」と相手への不満が募るばかり。そんな状態でご主人やお子さんに手伝ってもらっても、お母さんの基準に周囲が付き合わされるだけという感覚に陥りかねません。そこで大切なのが、家族間のコミュニケーションです。「この食器、どうやってしまう?」と話し合うことで、それぞれの価値観を知り、お互いに納得のいくルールを決めていくことができるのです。「今日仕事どうだった?とか、今日学校で何をした?という会話も大事ですが、こういったささやかな会話の積み重ねこそ、互いの理解を深めてくれると思っています」。

ボードゲームの写真

リビングで家族と一緒にボードゲームを楽しむ時間も、コミュニケーションを深めるために辰巳さんが大切にしているひととき。

子どもの生きる力を育むお手伝いは、頼りにすることでうまくいく。

子どもにお手伝いをさせることは、将来自立した大人になるためにも大切なことですが、「どのように手伝わせたらいいか分からない」と悩む人も少なくないようです。それに対し辰巳さんは、「もし魔法が使えたら、ここにある食器が、ぴゅーんと食器棚に飛んでいってくれるかもしれませんね(笑)。でも現実に魔法はありませんから、誰かがしまわないと片づかない。そこを理解させれば、腑に落ちるときが必ず来るはず」と言います。ポイントは、子どもであっても家族の一員として完全に頼りにすること。「お手伝いなんて悠長なことは言っていられない。あなたがいないと家事がまわらない。あなたのおかげで助かったわ、という気持ちを表現することが大切ですね」。

家族の写真1
家族の写真2

誕生日や節句など、年中行事も大事にしているという辰巳家。「年中行事は、なんとなく流れてしまう日々の中、節目節目で立ち止まり、考えるきっかけを与えてくれます」。

家族のコミュニティから、地域のコミュニティへ。

家族のコミュニティを大切にし、常に家族とはどうあるべきか、深く考えることが多い辰巳さんですが、実は少し前まで地域のコミュニティには、あまり関心がなかったと言います。「私自身が、郊外の新興住宅地で育ったせいか、正直ご近所づきあいは苦手でした」。ところが1年前に転居して来た浅草には、さすが下町ならではのご近所づきあいの文化が残っていて、「最初はかなり戸惑った」そうですが、次第に「ご近所づきあいには、型がある」ということに気づいたそう。「どちらまで?ちょっとそこまで、という会話自体に、深い意味はないけれど、そのひと言から会話を始められるのだから、下町文化はすごい! 50代になって初めて、ご近所づきあいのやり方と楽しさを知りました(笑)」。子どもも大人も分け隔てなくつきあうコミュニティの中で、今では自治会の婦人部に入って浅草の三社祭に関わる活動もしているという辰巳さん。「コミュニティは、家族だけでも、地域だけでも不十分。両方が充実してこそ、暮らしも子育てもうまくいくものだと、改めて実感しています」。

おぼんにのったみかんの写真

差し上げたり、もらったり、おすそ分けは日常茶飯事。「そういったご近所づきあいを子どもが体験することも、人間力を育むうえで大切なこと」と辰巳さん。

辰巳さんの写真

美しく暮らしを整える「暮らしと家事」の専門家
生活哲学家 家事塾代表 辰巳 渚さん

お茶の水女子大学文教育学部卒業。2000年『「捨てる!」技術』(宝島社)が130万部のベストセラーに。「家事塾」を主宰し、ほんとうに豊かに生きるための新しい生活哲学と、具体的な暮らし方の提案を続けている。著書に『「暮らす!」技術』(宝島社)、『家はこんなに変えられる』(大和書房)、『暮らしを整える44の秘訣』(エクスナレッジ)ほか多数。

「すむすむ くらしスペシャリスト」は、専門家の皆様のライフスタイルや暮らしのアイデアなどを紹介するコンテンツです。ご自身の暮らしに取り入れられる際は、必要に応じ専門家に確認するなど、自らの責任において行っていただけるよう、お願いいたします。また、ご紹介している写真の設備機器等は、パナソニック製以外のものが含まれます。お問い合わせいただきましても、お答えできない場合がありますことを、予めご了承ください。

Prev

くらしスペシャリスト #013 辰巳 渚さんご感想をfacebookでお聞かせください

あこがれの「住まい」を考えるヒントや、日々の暮らしを少しの工夫でより快適にする情報などをお届けしています