建築家

江ヶ崎さんの顔写真

くらしスペシャリスト#001 建築家 江ヶ崎 雅代さん

模型をみる江ヶ崎産とこどもの写真

Vol.2 子どもの自立心を育む間取り
SPECIAL MOVIE : 「子育てに適した住宅」を江ヶ崎さんが模型で解説

小さな「社会」に出ていく子どもを支えるために。

前回は子どもがまだ小さい頃の「子育てに適した住まい」についてご紹介しましたが、第2回では子どもがもう少し成長した段階での住まいの在り方について、子育て住宅の専門家である建築家・江ヶ崎雅代さんにお聞きします。スキンシップの時間がたっぷり取れる乳幼児期と違い、成長するにつれトイレや食事も自分でできるようになり、やがては幼稚園、小学校という子どもなりの小さな「社会」に出ていく時期を迎えます。とはいえ自立するにはまだまだ未熟な面を抱え、「見守り・支えて・励ます」といった親のサポートが不可欠。この成長のステージにフィットする住まいについて、江ヶ崎さんが掲げる2つのコンセプト「自然」と「つながり」の面から解説していただきました。

家であそぶ家族の写真

朝の光が差し込む子ども部屋で、生活のリズムを整える。

江ヶ崎さんの自邸では、東向きに開いた大きな窓から朝日がたっぷりと入る部屋で、子どもたちが寝起きします。「遅寝遅起きの子どもたちが増え、その影響が問題になっています。朝日の光を感じて目を覚ますことは早寝早起きの習慣づくりに役立つばかりでなく、自然のリズムを知り人間に元来備わった体内リズムを呼び起こすことにつながります」と江ヶ崎さん。朝の光という「自然」を感じることで、心にも身体にもエネルギーが湧き、一日を元気にはつらつと過ごす生活の土台ができるのだそう。子ども部屋が東向きの部屋でなくても、外の光が充満して室内が明るくなれば良いそうです。「カーテンを使用する場合は遮光性がないものを選び、防犯上から雨戸を閉める場合はお母さんが少し早く起きて開けるようにするといいですね。ハイサイドライト(高窓)は光が充満しやすく、外からの目線も気になりにくいので、寝室におすすめの窓です」。

お母さんと一緒に支度をするこどもの写真
着ていくものを選んで支度をするこどもの写真1
着ていくものを選んで支度をするこどもの写真2

「オープン玄関」での見守りが育む、子どもの自立心。

「子どもが小さいながらも社会に出て、自分の力で生きていく力をつけるためには、心のよりどころとなる家族との『つながり』がしっかりと育まれていることがとても大切」と江ヶ崎さんは話します。自邸の設計にあたっては、玄関とリビングの間にご自身のワークスペースを設けました。「子どもが『ただいまー』と玄関の扉を開けて帰ってきたときに、廊下と壁が迎えるのではなく、仕事しているママが顔を向けて『おかえり』と応えてあげられると、園や学校で嫌なことがあったり、お友達とうまくいかないことがあったりしても、ホッとするし嬉しいですよね。」廊下につながるだけの玄関ではなく、家族が過ごすスペースとつながるオープンな空間としての「オープン玄関」にすることで、「子どもが社会へ出ていく様子を見守り、家に戻ってくる安心感をつくることができる」と話します。

また玄関には3畳の広い収納スペースを併設。幼稚園や小学校に持っていくカバンや持ち物はこの場所に置き、子どもが一人で登園・登校の支度ができるようにしています。帽子を選んだり、制服のジャケットを着たり、持ち物をカバンに詰めたりして支度ができたら、ワークスペースのママのところへ。ママと一緒に忘れ物がないか点検する、ふれあいたっぷりの楽しい時間が生まれます。子どもは自分の力でやることで自信を持ち、ママが見守ってくれていることによる深い安堵感に包まれるはず。帰宅したら所定の位置にまた仕舞い、そのまま洗面室に行って手洗いやうがいができるよう動線にも配慮。家族の「つながり」と、一人の人間としての「自立」のバランスがとても深く考えられています。

お母さんと並んでお絵かきするこどもの写真1
お母さんと並んでお絵かきするこどもの写真2
家の模型を見るこどもの写真

未来の建築家を育てる、大人と共有するワークスペース。

江ヶ崎さんのワークスペースは、建築設計の仕事場であるとともに、子どもたちのお絵かきや勉強をする場所も兼ねています。「パパやママの書類や書籍、道具やパソコンは、子どもにとってわくわくするもの」と話す江ヶ崎さんですが、自邸では3歳半の息子さんがママの隣に座って三角定規を持って設計図とにらめっこをしたり、模型をのぞき込んだりと、建築家の真似がとってもお上手な様子。「家族でワークスペースを共用することでふれあいの時間が増え、家族間の情報・知識に接点が生まれて交流が起こります」と話します。その空間づくりのポイントは、「親子で椅子を並べられる長めの天板(机)を渡し、オープンな棚を設けること」だとか。「家族が集うリビングなどに、このようなワークスペースを設けるのもおすすめ。オープンな棚には子どもの絵本やママの本、パパの趣味のモノや家族写真など、なんでも好きなものを並べて。そこは家族みんなのお気に入りスペースになり、家族のつながりの場になるはずです。」

家の外観写真1
家の外観写真2
家の外観写真3

子供と一緒に暮らしを“楽しむ”工夫を毎日に取り入れて。

白を基調にしたシンプルな外観とグリーンが目にまぶしい庭、そして自然光を採り込む大きな窓と、子育てファミリーの憧れ感いっぱいの江ヶ崎さんの自邸。「今の住まいに『自然』や『つながり』のコンセプトを取り入れ、子どもとの暮らしを楽しむ工夫は?」と尋ねてみました。「『自然』に触れ合うためには、例えばマンションならベランダにグリーンを置いて一緒に育ててみては。子どもと一緒に窓にかわいいウインドウステッカーを貼りながら、窓の外に広がる空や雲、風や雨のことを話題にするのも楽しいですよ」。また「親子の『つながり』をもっと増やしたいと思うなら、玄関まわりにひと工夫してみませんか。玄関から続く廊下などのスペースに、フックなどを使って子どもの身支度コーナーをつくれば、自立心が促されるとともにお母さんがやさしく見守ってあげることで楽しいふれあいの時間も生まれます」とも。「今できることから始めて、やがては私らしい子育てのための住まいづくりを」と、そう願う家族のために江ヶ崎さんは、これからもたくさんの暮らしの夢をカタチにしていきたいと、未来への夢を語ります。(完、2014年8月24日取材)

親子時間を楽しむ

「子育てに適した住宅」を
江ヶ崎さんが模型で解説

模型の写真

前回そして今回ご紹介した江ヶ崎さんの自邸の間取りを、模型で解説していただきました。自然を感じるために設計された中庭に開いた空間構成や、玄関・ワークスペースなどの空間のつながりが手に取るように分かります。動画でご覧ください。

SPECIAL MOVIE

江ヶ崎さんの写真

「子育てに適した住宅」のスペシャリスト
建築家 江ヶ崎 雅代さん

1981年生まれ、兵庫県出身。京都府立大学人間環境学部環境デザイン学科卒、一級建築士。事務機器メーカーや設計事務所を経て、2011年に「e do design 一級建築士事務所」を開設。子育て世代の思いに寄り添いながら、女性目線・子育て目線で「こども」をテーマにした建築設計を行う。子育てを一緒に楽しみ応援する「e do salon」も主宰。自身も2児の母。
http://www.edodesign.jp/

Vol.1は読まれましたか?

Vol.1子どもとともに豊かな感性を育む住まい

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