建築家

江ヶ崎さんの顔写真

くらしスペシャリスト#001 建築家 江ヶ崎 雅代さん

家で子供とくつろいでいる写真

Vol.1 子どもとともに豊かな感性を育む住まい
SPECIAL MOVIE : 江ヶ崎さんが語るチャイルドケア

「子どもと一緒に親も育っていこう」と思えると、肩の力がフッと抜けました

「家には子どもがいて、ママとパパがいて。そんな家族像を住まいのカタチとして表現したい」。建築家である江ヶ崎さんがそう思い始めたのは、ご自身もママとなって子どもを育て始めてから。特に自然療法を取り入れたホームケアから育児をサポートする、「チャイルドケア」との出会いが大きかったそう。「乳児とどう向き合えばいいのか不安もあったのですが、子どもと一緒に親も育っていけばいいと思えて肩の力がスッと抜けました」と話します。2011年9月には独立して、「女性目線」「子育て目線」をコンセプトに掲げた「e do design 一級建築士事務所」を設立。さらにチャイルドケアインストラクターの資格を取って、子育ての悩みや知恵を共有しながらチャイルドケアを学ぶ、教室のような場「e do salon」も主宰することに。現在は3歳半と1歳7カ月の子どもたちを育てながら、育児中の同世代の住宅をはじめ店舗設計やリノベーションなどにも精力的に取り組んでいます。そんな江ヶ崎さんの第1号の作品が、自邸兼設計事務所。白を基調にしたシンプルな外観と、細部にわたり子育て目線に立って考えた空間でお話を伺いました。

家にいる江ヶ崎さんの写真

家族の描くシーンがカタチとなり、積み重なって住宅に。

江ヶ崎さんは住まい手の想いを感じ、受け止めることを大切にしています。たとえば、「子どもと並んでパン作りをする」「学校から帰ってきたら、『おかえり』『ただいま』と声を掛け合う」「ウッドデッキの日だまりで子どもと遊ぶ」など、こんな風に過ごせたらいいなと家族が思い描くシーンを、敷地や環境などさまざまな条件とのバランスを見ながら設計プランへ落とし込み、そのカタチが積み重なったとき、その家族らしい「住まい」が生まれると考えます。江ヶ崎さんの夢は、そのように家族像を体現した個性的な住宅を、1つ1つ大切につくっていく事だそう。「子どものため」は「みんなのため」というユニバーサルデザインの視点を大切にしていて、住まい手のお困り事を見ていくと、小さな配慮を施すことで解決策が見つかることも多いとか。子どもにとってのバリアを取り除くのはもちろん、ママもパパもみんなが楽しく快適に過ごせるような家をつくることが目標です。江ヶ崎さんが考える子育てに適した住まいとは具体的にどんなものか、お聞きしてみました。

中庭の写真 外から見た外壁と窓の写真
庭で元気に遊ぶ子供の写真

素足で「庭」を歩こう、いろんな「窓」を楽しもう

江ヶ崎さんは子どもと過ごす住宅を考える際に大切なコンセプトとして、「自然」と「つながり」を挙げています。まず、「自然」というキーワードについて伺ってみました。幼少期は五感への刺激をたっぷり与えられる環境が大切と言われ、自然にふれることで豊かな感性が育まれます。裸足で地面に立ち、木々をわたる風を感じ、植物、昆虫に触れて四季の変化を知ることは、子どもにとってかけがえのない体験に。そのためには、「小さくてもいいから、植物が根付いた庭をつくろう!」と江ヶ崎さんは呼びかけます。掃き出し窓や縁側があれば、すぐに庭に出ることができます。植物は紅葉したり落葉したり、花が咲いたりと季節感を感じられるもの、そして、素足で過ごせる芝生は特にお勧めだそう。パパが芝刈りをする姿を見るのは、子どもにとっては興味津々。作業を見ることで「いのちあるものを育てるのは手間がかかる」ことへの気付きが生まれるかも知れません。

「室内に居ながら自然に触れるために、「窓」に注目してほしいですね」と江ヶ崎さん。「カーテンやブラインドがいらない窓がおすすめ」だそう。ご自宅には中庭を囲む大きな掃き出し窓の他にも、踊り場に光を導く階段の高い窓、空が見えるトップライト(天窓)や風景を切り取るように設置したスリット状の窓など、目隠しのない窓がそこかしこにあります。寒い日には窓のそばで日なたぼっこをしたり、何気なく過ごす時間の中で一日を通じて変化する光や風から自然のリズムを体感したりすることは、子どもの感性を磨き身体感覚を鍛えるのだそうです。

子供の様子を見る江ヶ崎さんの写真
子供と話をする江ヶ崎さんの写真
収納スペースの写真 家の様子を写した写真

お料理をしている手元が見えると、「お母さんはまるで魔法使い」。

江ヶ崎さんが掲げるもう1つのキーワード「つながり」について伺いました。中庭に面した気持ちの良い空間が広がるLDKは、家事をしながらリビングやダイニングで過ごす子どもと目を合わせて対話できるようにと設計されていますが、江ヶ崎さんはコミュニケーション面に加えて食育面にも注目。例えば子どもたちの大好物、カレーをつくっているとき、お母さんがどんな野菜や肉を材料として、どう切って、どんな風に煮込んでいるのか、手元が見えるようにしておくのがポイントだそう。子どもたちはお母さんのやっていることが、まるで魔法のように見えてくるはず。そのためにも、アイランドキッチンのカウンターはフラットにすると良いとのこと。手間暇をかけて、子どものために愛情たっぷりの料理をつくる姿を見せるのはとても大切で、「食事は生活の基本。食事の楽しさ、大切さを感じてもらいたい」と江ヶ崎さんは話します。自邸のLDKが驚くほどすっきりとキープされているのは、収納にも秘訣がありそう。キッチンの背面にパントリーと収納を設けたこと、また、キッチンの前面は食器類が収納できることも便利なポイント。「食器を出して食事の準備をしたり、後片付けを手伝ってもらったりしやすくなりますよ」としつけの面でも効果を期待できそうです。

階段を上る子供の写真
バスルームの写真
引戸を利用した写真
2枚目。引戸を利用した写真

見ているときも、いないときも、確保したい安全安心

子どもが小さいうちは家で過ごす時間が長く、親子でたっぷりスキンシップの時間が取れますが、同時に子どもの安全も大変気になる時期です。江ヶ崎さんの自邸では、階段の踏板の幅を広くして踏み外しの事故を防いだり、バスルームのドアを全面ガラスにして自分で身体を洗いたがる子どもを見守れるようにしたりと、安全面を重視。また、ご自宅のドアにはすべて引戸を採用。普段は開けっ放しにして、子どもたちが元気に走り回れるようにしています。下レールがない上吊りタイプなので、つまづく心配もありません。2階は親子で一緒に眠る寝室と子どもたちのプレイルーム、ゲストルームと3室で構成されています。もう一人子どもが生まれても、子どもの成長に応じて壁を立てて個室を設けたり、今後ご家族が同居する場合はご両親の部屋となったりと、家族形態とライフスタイルに合わせてフレキシブルに対応できるようにプラン。「家族のカタチは常に変化していきますから、あえて部屋の用途を限定せず、大きな箱と大きな収納を用意しておくだけという考え方です。そのときの家族のスタイルによって変化させていくと良いですね」。現在の江ヶ崎さんのライフスタイルにぴったりの素敵なお住まいはとてもここち良さそうで、子育てを楽しんでいる様子が伝わってきました。(本文終わり、2014年8月24日取材)

おやこふれあい

江ヶ崎さんが語る
チャイルドケアの考え方

子供と遊ぶ江ヶ崎さん

子育てをする上で転機を与えてくれた「チャイルドケア」について、江ヶ崎さんが語ります。基本となる「ふれあい」と「タッチ」や、家庭にあるものでできるチャイルドマッサージなどをご紹介します。

SPECIAL MOVIE

江ヶ崎さんの写真

「子育てに適した住宅」のスペシャリスト
建築家 江ヶ崎 雅代さん

1981年生まれ、兵庫県出身。京都府立大学人間環境学部環境デザイン学科卒、一級建築士。事務機器メーカーや設計事務所を経て、2011年に「e do design 一級建築士事務所」を開設。子育て世代の思いに寄り添いながら、女性目線・子育て目線で「こども」をテーマにした建築設計を行う。子育てを一緒に楽しみ応援する「e do salon」も主宰。自身も2児の母。
http://www.edodesign.jp/

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Vol.2子どもの自立心を育む間取りの工夫

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