くらしネクスト

セレクトショップから見つかる自宅でのリラックスタイム

安藤桃代

株式会社サザビーリーグ
ラカグ事業部
商品部・バイヤー
安藤桃代

若山嘉代子

グラフィック/エディトリアル
デザイナー
若山嘉代子

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川島蓉子

ifs未来研究所所長川島蓉子

第2回となる「くらしネクスト会議」にお迎えしたのは、東京・神楽坂にあるセレクトショップ「la kagu (ラカグ)」のバイヤーである安藤桃代さん。前回に引き続き、エディトリアルデザイナーの若山嘉代子さんがもう一人のゲストとして加わり、「ちょっと先の未来」について企業やクリエイターと一緒に考える活動を続けているifs未来研究所 所長の川島蓉子さんが案内役を務めます。パナソニックのメンバーも加わり、「ラカグ」の世界観と品揃えを切り口に、くらしの中の心地よさについて話し合いました。

本質で選び抜かれた品々から放たれる
心地よさに包まれた空間

入り口からレジまでのスペースはプレゼンテーションとして使用。2週間に一回、その時のテーマに合わせて、メンズ、レディース、インテリア雑貨から商品を展示、コーディネート提案を行っている。

「ラカグ」は、1960年代に建てられた新潮社の書庫をリノベーションして生まれた、「衣食住+知」をコンセプトにした商業施設。何気ない日常生活を豊かにしてくれるレディスファッション・メンズファッション・雑貨・家具・本・アート・カフェで構成されています。天井の高い開放的な店内には商品に関連した書籍が点在。2階のイベントスペースに置かれている書籍は、トークイベントのゲストに合わせて品揃えを替えるなど、“知”を感じる空間の有り様が追求されています。「幅広い年代のお客さまが来店されますが、比較的40~50代の顧客が多い。頻繁に来ていただいても飽きない、来るたびに楽しいと思える構成にしています」(安藤さん)。商品をセレクトする際にこだわっていることは、服を選ぶ目線で雑貨を選ぶことと、流行よりもものづくりの本質が見えるものに着眼すること。日常で大事に使える上質なものを品揃えし、入り口にあるプレゼンテーションを2週間単位で替えながら、テーマに即した独自のコーディネートを提案しています。

トークイベントが開催されるスペース。周囲に展示される書籍やアート、グッズは、イベントのゲストにまつわるものに毎回入れ替わる。

「ここ2、3年、特に感じるお金の使い方の変化は、洋服が少しずつ減って、その分雑貨が高まっているということです。仕事や外ではなく、家が一番大切といったムードが普通になってきています」(安藤さん)と感じる一つの理由に、人形やオブジェ、焚き火の香りのアロマキャンドルなど、一見何の役にも立ちそうにないけれどどこかホッとするような雑貨が人気になっていることがあります。ちょっと心の緩むものが家でリラックス気分を醸成する役割を果たしているのではないでしょうか。
「朝来てランチを食べて、店内を見て回り、またカフェでお茶をして、検討していた品を最後に買って帰るような方々が多いです」(安藤さん)など、一人のお客さまが「ラカグ」で過ごす時間は長い。何となくの香りや何となくの光、何となくの空気から生まれる心地よさが、知らず知らずのうちにお客さまの足を引き止めているのかもしれません。

ルームウェア、食器、ホームフレグランス、コスメなどが置かれたコーナー。売りたいものは目に留まるようテーブルで見せる。並んでいる「アラビア」のアンティークの食器は人気が高い。他のアイテムも、昔あったデザインで良かったものは復刻され若者に引き継がれている。

家でのリラックスは、自然と、
作り手の温かみが感じられるものの
力を借りて

毎朝、窓を開け、その前にあるソファに座り、ぼーっと陽をあびるのが日課という安藤さん。大きなけやきを眺め、春には隣家の桜を愛でるなど借景を楽しんでいます。「四季、自然が感じられるのが一番のリラックス。ストレスが解消できる」と感じている安藤さんのご自宅は、空気の循環が良いのか室内の植木もぐんぐん成長、自慢の一品になっているとか。気持ち良さそうに育っている植物を見るにつけ、「人間にもきっと気持ち良い空間なのだろう」と思うそうです。
家の中で大切にしているものは、顔の分かる作家さんに作ってもらったテーブルと椅子、そして「おひつ」。それらを使っていると、その人の思いや温かみがそのものを通して感じられ、ほっと安心できるだけでなく、自身も温かい気持ちになれると言います。お鍋で炊いたご飯を「美味しそう」と思いながらおひつに移す。おひつの中で美味しくなるという実感があるため、その移すという行為そのものがとても楽しく、リラックスにもつながるようです。

「ガウン」と暮らす大切な家時間

家で過ごす時間が大好きだという若山さん。外では忙しい毎日を送っているため、「家にいること自体がリラックスになる」と言います。若山さんの習慣になっていることは、帰宅後すぐにガウンに着替えること。寝るまでそれを着て、朝起きて出掛ける寸前までそれを着る、とにかく家の中では常にガウンを着ている状態だとか。「ガウンを着ていると、気持ちがとってもリラックスしていることが分かります。はじめは高価な買い物だと躊躇もしたけれど、毎日着るものなので決して高くはないですね」(若山さん)と思えるほど、今ではガウンのない家時間は考えられず、大切な普通の暮らしの必需品になっています。
また年を重ねるたびに、家の中で季節感を大事にしたいという思いから、リビングの一角に「月暦」という一刀彫のお人形を置いています。8月は西瓜、9月は菊の花など、お人形が持つ小物を毎月自分で取り替えことの楽しさがある。無駄なような物が、実は暮らしを豊かにしてくれていると感じるそうです。

ラカグの心地よいポイント

入り口までは木製の階段が続く。オープン当初は近所の商店の方々に出店してもらいフリーマーケットを催した。今も周辺のお店と回遊が行われるような展示を行うなど、地元とのつながりを大切にしている。

外壁には期間限定で行われるイベントのロゴなどをデコレーション。2017年10月は「ポールスミス展」が開催された。

スマホに関連するガジェットなどにフォーカスしたコーナー。

ガジェットコーナーの一角にも、書籍やユニークな人形を配し、知的であり、どこか心が緩む雰囲気を醸し出す。

2階にあるメンズコーナー。落ち着いた年齢層に向け、ベーシックなものを品揃えしている。

家具はすべて北欧のアンティーク。一点ものなので、気に入れば即決で購入される。

食器やオブジェ、ファブリックなどインテリア小物は世界中から集めている。

最近は、陶器のオブジェや猫のマトリォーシカなど、実用的でないもの置物などが求められている。

「くらしネクスト会議」
参加メンバー

安藤桃代

ゲスト

株式会社サザビーリーグ
ラカグ事業部 商品部・バイヤー
安藤桃代

(株)ユナイテッドアローズ、バイヤー、ディレクターを経て2013年に(株)サザビーリーグ入社。2014年 la kagu立ち上げ。現在、la kagu のレディースとインテリア雑貨のバイヤー。

若山嘉代子

ゲスト

グラフィック/エディトリアルデザイナー
有限会社レスパース代表
若山嘉代子

武蔵野美術大学出身。主に書籍や雑誌など出版物の企画編集+デザインを手がける。特にインテリアやフード分野に強みを持ち、有元葉子氏ら著名な料理研究家の著作も多数手がける。

川島蓉子

案内役

ifs未来研究所所長
川島蓉子

伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ジャーナリスト。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。
著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)などがある。