住まいづくりの基礎知識

法律

防火のための建築制限

「防火地域」と「準防火地域」

都市の安全、特に火災から人々の生命や財産を守るため、都市計画法によって「防火地域」と「準防火地域」の指定があります。防火地域は商業地域や幹線道路沿線沿いなどを中心に、準防火地域は工業地域だけでなく住宅地域も含めて広範に定められています。とくに都市近郊の住宅地域では準防火地域指定がされているケースが多いといえます。

「耐火建築物」と「準耐火建築物」

建築基準法では地域別に建築物の構造に制限が設けられています。防火地域では3階以上または延べ床面積100平方メートル超の建物は耐火建築物に、それ以下の建物は準耐火建築物にすることが義務付けられています。準防火地域ではそれより規制が緩やかで、規模のおおきな建物は耐火建築物にする 義務がありますが、木造の2階建てや3階建ても基準を満たせば建てることができます。耐火建築物、準耐火建築物以外の建物は、延焼のおそれのある部分の外壁、軒裏を防火構造とし、開口部に防火戸や防火設備を設けなければなりません。

耐火建築物
壁、柱、梁、床、屋根、階段といった、火災発生時に建物が倒壊しないうちに安全に屋外に避難出来るための防火上・避難上主要な構造物(主要構造部)を、耐火構造、または屋内から火災が発生した時や、周囲で火災が発生した時に、火災が終了するまでの間耐えうる性能についての技術的基準に適合しているものとしたもので、どちらも外壁の開口部で延焼のおそれのある部分には防火戸や政令で定められた防火設備を設けた建物をさします。
準耐火建築物
耐火建築物以外の建物で主要構造部を準耐火構造としたもの、またはこれと同等の耐火性能を有するものとして主要構造部の防火措置その他の事項について技術的基準に適合しているもので、いずれも外壁の開口部で延焼のおそれのある部分には防火戸や政令で定められた防火設備を設けた建物をさします。各基準はかなり細かく取り決められているので関連書籍などをご参照ください。

準防火地域に3階建ての木造住宅を建てる場合は厳しい制限を受ける

耐火建築物としての基準を満たす建物は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造が一般的です。木造も建築可能ですが、耐火性能基準を満たすために厳しい制限を受けるうえ、建築コストが割高になります。たとえば、準防火地域に3階建ての木造住宅を建てる場合、敷地の境界線から5m以内の窓の面積については厳しく制限。とくに境界線1m以内では便所、洗面所などの換気用小窓を除いて開け閉めのできる窓は許されません。どうしても開閉可能な窓をつけたい場合は、防火シャッター等の設置が必要です。

防火指定なしの地域に家を建てる場合

屋根や外壁に防火上の基準があります。また、建物の規模などによっては『耐火建築物』『準耐火建築物』にしなければいけない場合があります。

防火地域・準防火地域とは

「防火地域」「準防火地域」とは、市街地における火災の危険を防ぐために指定された地域のことです。防火地域は、主として商業地などで建築物の密集した火災危険率の高い市街地について指定されます。
防火地域内の建築物については、1.原則としてその規模に応じ、耐火建築物又は準耐火建築物とすることという制限が課せられています。
準防火地域は、防火地域に準ずる地域について指定されます。
準防火地域内の建築物については、一定規模以上の建築物はその規模に応じ耐火建築物又は準耐火建築物とすること 2.木造の建築物は、延焼のおそれのある部分外壁や軒裏を防火構造とし、開口部に防火戸や防火設備を設置することなどの制限が設けられています。

耐火建築物

次に掲げる基準に適合する建築物のことを「耐火建築物」といいます。

  1. 1.その主要構造部が(1)または(2)のいずれかに該当すること。 (1)耐火構造であること。
    (2)次に掲げる性能(外壁以外の主要構造部にあっては、外壁においてはおよびに掲げる性能に限る)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。
    当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
    当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
  2. 2.その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能<通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう>に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、建設大臣が定めた構造方法を用いるもの又は建設大臣の認定を受けたものに限る)を有すること。

耐火構造

壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能(火災による建築物の倒壊や延焼を防止するために必要な、その建物の部分の性能をいう)に関して、政令で定める技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、れんが造、その他の構造で、建設大臣が定めた構造方法を用いるもの、または建設大臣の認定を受けたものを「耐火構造」といいます。
2000年(平成12年)の建築基準法改正で、耐火構造は「壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能(中略)に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、レンガ造、その他の構造で、建設大臣が定めた構造方法を用いるものまたは建設大臣の認定を受けたものをいう。」と改正されました。 まずこの中で「耐火性能」は「通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び遅延を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能」と定義され、「耐火構造」が「倒壊・延焼防止」を目的とした構造であることが明確にされ、規定方法もより明確になりました。
また同時に、「耐火建築物」の主要構造部に関し、従来の「耐火構造」に加えて、「性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもの」も認められるようになりました。性能の基本は、「屋内において発生が予測される火災」「周囲において発生される火災」のそれぞれの火熱に火災が終了するまで耐えることであり、性能を満たしていることを検証する方法として、耐火性能検証法が規定されました。これにより、どのような構造の建築物であっても、耐火構造でつくった建築物と同等に火災に耐えるのであれば、耐火建築物として位置づけられるようになり、構造の選択肢が広がったといえます。

準耐火建築物

「準耐火建築物」は、耐火建築物ほどの耐火性能を有しなくても防火上一定の耐火性能があると認められる建築物のことをいい、大きく3種類に分かれています。いずれもその外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設ける必要があります。

主要構造部を準耐火構造としたもの。 「1.」以外の建築物であって、「1.」のものと同等の準耐火性能を有するものとして主要構造部の防火の措置その他の事項について政令で定める技術的基準に適合するもの(「外壁耐火型」と「主要構造部不燃構造型」の2種類ある)。

準耐火構造

●準耐火構造
壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、準耐火性能(通常の火災による延焼を抑止するために当該建築物の部分に必要とされる性能)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、建設大臣が定めた構造方法を用いるもの、または建設大臣の認定を受けたものを「準耐火構造」といいます。

●防火地域・準防火地域の建築規制

  建築物に対する制限の概要
規模 構造
防火地域 階数が3以上または延べ面積が100平方メートルを超える建築物 耐火建築物
上記以外の建築物 耐火建築物または準耐火建築物
準防火地域 地階を除く階数が4以上または延べ面積が1,500平方メートルを超える建築物 耐火建築物
延べ面積が500平方メートルを超え1,500平方メートル以下の建築物 耐火建築物又は準耐火建築物
地階を除く階数が3である建築物 耐火建築物、準耐火建築物または外壁の開口部の構造および面積、主要構造部に防火措置等を施した木造建築物
上記以外の木造の建築物 外壁および軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造

この内容は2004年2月16日現在のものです。

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