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背割り

ヒノキやスギなどの木材は、丸太や柱の芯持ち材をそのまま乾燥させると「ひび割れ」が生じる。
丸太や柱は表面から乾き始めるので、乾いた表層だけ縮もうとする。しかし芯に近い部分にはまだ水分が残っているので、表層の縮みを邪魔する。そこで表面が引っ張り合い、割れ目が入り、ひび割れの原因となる。このひび割れを防ぐため、乾燥する前の丸太や柱にあらかじめ鋸目(のこめ=鋸を引いてできる切れ目)をいれ乾燥させるのが「背割り」という技法。こうすると、乾燥による縮みは鋸目のところに集中して、ほかの部分のひび割れがおきない。
この技法は日本で古くからおこなわれ、400年前の桂離宮の御幸御殿ではすべての柱に背割りが施されている。現在も背割り材は柱や床柱などに多く用いられている。

背割り