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家族の健康を守り、住まいの"老化"を防ぐ換気設備

2007年12月20日更新

快適な空気質環境を保ち、住まいを長持ちさせる換気
目には見えませんが、空気環境は住まいづくりの大切なポイントです。適切な温度・湿度で、時に応じて新しい空気に入れ替える仕組みが住まいには必要です。いい空気の中で暮らすことが、快適、健康の基本になるだけでなく、結露やカビの発生を防ぎ、建物の健康を維持することにもなります。見逃しがちな空気環境と換気。リフォームの際、間取りと一緒に計画しましょう。

1快適な暮らしと住まいに欠かせない換気

目に見えなくても、体に一番多く取り込んでいるものが「空気」です。室内では、その空気の質が、健康や快適な生活に大きな影響を与えます。住宅の高気密化や、エアコンの普及などで窓を開けない生活が増え、現代の住まいは空気が入れ替わりにくく、汚れやすくなっているのです。

空気環境を改善し、住まいの寿命を延ばす換気

換気の目的は、ズバリ室内に新鮮な空気を取り入れて、汚れた空気を排気することです。住まいの中では、生活者以外から発生する有害物質(燃焼機器からの排ガス)の他に、生活臭・水分・人からの水蒸気、二酸化炭素などが発生します。それらが湿気やニオイの原因となり、室内の空気を汚してカビの発生原因となっています。 現在の気密性の高い住まいで適切な換気をしなければ、
●風通しが悪くなり、
●湿気が増えてカビやダニが発生し、
●ダニの死骸がアレルギーの原因になる。
――といった、ありがたくない生活環境ができ上がってしまいます。
また湿気やカビは健康に悪影響を与えるだけでなく、湿気のある室内では、目に見える結露以外に、床材や壁材に水分が入り込み、木材などを腐らせる原因にもなります。この連鎖を防ぐために、外から新鮮な空気を取り入れて、空気の流れを作る「換気」が必要なのです。換気は、「住む人の健康」と「住まいの傷みや老朽化を防ぐ建物の健康」という、2つの健康に関わる大切な機能を持っているのです。

■人体が摂取しているものの割合(重量比)

(参考:村上周三 著『室内環境と空気汚染』より)

ウォークインクローゼットなどの収納スペースにも換気をつける人が増えている。

建築基準法で定められている24時間機械換気

2003年の建築基準法の改正により、24時間機械換気が義務付けられました。これは昔に比べ、住まいの気密性が高くなったことや、エアコンの普及により窓を開けることが少なくなったことで、有害な化学物質が含まれる建材や家具の使用により、室内の空気が汚染され、これがシックハウス症候群の原因と考えられたためです。
そこで、住宅に限らず居室がある建物はシックハウス対策のため、機械換気設備の設置や、建築材料に基準が設けられることとなりました。特に、リビングや寝室などの居室に対しては、常時換気が可能な機械換気設備が義務付けられ、住宅の場合、0.5回/h以上、それ以外では0.3回/h以上の換気量が必要になりました。
これは、シックハウス症候群の原因といわれるホルムアルデヒドを除去するためです。天然木等のホルムアルデヒドを含まない建材を使用した住宅でも、家具やカーテンなどからホルムアルデヒドが発生することもあるので、換気設備が必要です。24時間一定量の換気をすることで、汚染物質を除去して健康的な環境を作り上げているのが24時間換気です。

■昔の住まいと現代の住まい

■24時間機械換気設備設置のポイント

■内装材の使用制限のポイント

224時間機械換気と局所換気で効率よく空気の入れ替え

換気には、24時間機械換気と局所換気があります。24時間機械換気は、室内に汚染物質が溜まらないようにする穏やかな換気です。一方、局所換気は、空気の汚れを強い力で換気するもの。例えば、キッチンや浴室、トイレなど、すばやく空気を入れ替えたい場所に取り付け、必要な時に使用するものです。

自然換気から機械換気までさまざまな種類の換気

換気の方法は、自然換気、機械換気第1種・第2種・第3種の4種類があります。室内から室外に空気を出すのが排気、室外から室内に空気を取り込むことを給気といいます。
自然換気は、建物のすき間や給排気口からの外風や温度差で安定した換気は望めません。そこで機械換気を取り入れることが重要になります。機械換気の方法は3種類あり、種類によって特長が次のように異なります。

■換気の方法と特長

●第1種換気法 機械排気・機械給気

換気方式の中で最も確実な換気が可能で、空気の流れが制御しやすく、比較的気密の低い住宅でも安定した換気効果が得られます。また、換気による熱負荷を低減させる熱交換を用いることも可能です。戸建て、マンションともおススメです。

●第2種換気法 自然排気・機械給気

給気系にフィルターをかませることで室内の空気質を向上させることができます。ただし、冬期の壁体内結露に注意を払った工法の住宅への採用をおススメします。

●第3種換気法 機械排気・自然給気

低コストで計画換気が可能ですが、気密性が低い住宅では、確実な換気が行なわれないので注意が必要です。

部屋の条件により使い分けて換気効率を高める

換気には、常時換気と局所換気があり、それぞれの部屋の条件によって使い分けることが大切です。
常時換気とは、空気の汚れを許容限度以下に保つ換気法です。家のすみずみに24時間新鮮な空気を取り入れ、汚れた空気を効率的に追い出し、「住まい全体をゆっくり、そよ風で換気」を24時間続けます。寝室やリビング、客間、書斎といった部屋への設置が一般的です。
局所換気は、一部分の汚れた空気を強い力で集中的に換気します。「ここだけ、すばやく、パワフルに換気」で、キッチンや浴室、トイレなどのすばやく換気を必要とする場所に使用しますが、喫煙をする部屋、人が多く集まる家庭のリビングなどにも設置をするといいでしょう。また、トイレや浴室は、使用時は局所換気に、不使用時はカビ防止やニオイの残留を防ぐためにも常時換気に切り替えて使用することがおススメです。

■換気の方法と特長

常時(24時間)換気

局所換気

■換気プランの一例

省エネが進む換気設備のランニングコスト

24時間機械換気が義務付けられて多くの人が不安に思うのがランニングコストです。1日中スイッチを切ることのない24時間機械換気のランニングコストを気にして、外出時や睡眠時など、節電のためにスイッチを切ってしまう人もいるようですが、現在の換気システムは1カ月の電気代は少ないものでは100円からで、平均5〜600円程度(※)になると思われます。
電気代は住宅の広さや生活環境などにより多少異なりますが、ランニングコストを心配してスイッチを切り、健康や住まいに悪影響をおよぼすことの方が不経済なのです。

※電気の契約内容や機種により異なります。あくまでも目安にお考えください。

3早期の換気プランで快適な空気環境を実現

高気密・高断熱の住まいにしたつもりが、換気プランがきちんとされていなければ、快適さや省エネなどの性能を落としかねません。換気設備を取り付けるということは、壁に穴を開けることにもなります。さらに配線設備のことも考える必要があります。また、部屋のレイアウトにより風の流れも考える必要があるので、通気のよい快適な空気環境にするためには、新築、またはリフォーム計画の早い段階で換気設備のことを考える必要があります。

新築時は建てる前の換気プランが大切に

換気は、必要換気量の確保、換気経路の明確化、室内環境への影響を考えて計画します。そのためには、部屋のどの部分にどのような換気設備が必要なのか、外気を取り込んでどのような経路で空気を外に排出するかを考えましょう。
まず、室内をクリーンゾーンとダーティーゾーンに分けます。クリーンゾーンは比較的汚れの少ないリビング・寝室・子ども部屋など、廊下を中間ゾーンとし、ダーティーゾーンは湿気の多いトイレ・洗面・浴室です。外気を取り入れる場合は、クリーンゾーンから取り入れ、ダーティーゾーンから出すという風の通路を作ります。そうすることで常に新鮮な空気が汚れの少ない状態で室内を流れるのです。
リフォームの時は、ドアの下の通気スペースの有無により24時間機械換気の適応範囲が変わってきますから、空気の流れをリフォームなどで増築した部屋のみにするのか、住まい全体にするのかでコストや工事の範囲も大きく変わります。予算も含め、計画段階でしっかりと検討して決めましょう。

■外気取り込みと屋外への排出経路

比較的汚れの少ないクリーンゾーンから外気を取り入れ、ダーティーゾーンから排出する風の通路作りがポイント。

換気設備のタイプと特徴

換気設備には、自然給気と機械排気を組み合わせて住居内に風の流れを作る「集中気調システム」と、換気による冷暖房時の熱ロスを60〜70%抑える「熱交気調システム」があります。
集中気調システムは、省電力設計のセントラル換気ファン1台で居室やサニタリーゾーンに設置された排気グリルから汚れた空気を取り込み、1か所から集中排気します。
熱交気調システムは、外気を取り込む時に、室内との温度差をなるべく少なくする熱交換気ユニットをフロア毎に設置し、各部屋の吹き出しグリルから新鮮な外気を給気し、廊下や洗面に設置した本体の下部から汚れた空気を排気するシステムです。つまり、換気で外気を取り込むことで室温が下がったり上がったりする影響が少なく、エアコン使用時にも低いランニングコストで効率よく換気ができます。

汚れた空気の滞留しやすい車庫などに取り付けるタイプも。

換気しながら音漏れを最小限にする換気設備でリビングシアターも快適に。

豊富な機能性でさらに快適な暮らしを実現する換気

換気にはさまざまな機能があります。
換気扇のフィルターには、アレル物質や浮遊菌・カビを抑制したり除去するタイプもあります。フィルターに添着したフェノール系ポリマーとポリフェノールが花粉、ダニの死骸、イヌ・ネコフケといったアレルゲンを抑制。フィルターでキャッチしたウイルスは、お茶から取った天然成分のカテキンが取り囲んでコーティングし、ウイルスの活動を抑制します。バイオの力で浮遊菌やカビを除去するなどの働きで、キレイな空気を取り入れます。
利便性を考えるなら、設定温度になれば自動運転する温度センサー、タバコの煙を感知して運転をする煙センサー、赤外線で人を感知して運転する人感センサーなどがついた換気設備も。
さらに、浴室に設置することで、浴室がサウナルームに。うるおいモード・サウナモードの2種のクリアミストが楽しめるとともに、暖房・乾燥・換気・涼風の多機能付き。洗濯乾燥室としても利用でき、浴室を何倍も機能的にするバスルームコンディショナーもあります。 このような機能を上手に使えば、効率よく換気をして快適な暮らしを手に入れることができます。

■浴室を快適にする換気設備の機能

湿気によるカビを防いだり、冬場の寒さを軽減する暖房機能など、バスルームを快適な空間にする換気設備。

■換気扇フィルター

気になる花粉やウイルスをフィルターでカット。新鮮な空気を取り入れて快適に。

室内側だけではなく、建物外壁側のフードもスッキリしたデザインに。壁面の汚れを軽減します。

4入居後のメンテナンスも大切に

換気設備を取り付けたら、あとは機械が勝手にやってくれるというものではありません。室内のホコリやチリがこびりついた換気扇では十分な換気の効果が得られないこともあります。
さらに、機能が低下した状態で換気を続けるとランニングコストも高くなり、無駄な出費にもなります。無駄なコストをかけないためにも、常に室内の空気環境をよい状態にするためにも、換気扇は月に1度は掃除をしましょう。

空気の通り道を作り、流れを妨げない家具配置を

空気には通り道があります。クリーンゾーンからダーティーゾーンへと流れる空気の通り道に大きな家具を置いたりしてしまうと換気の機能が十分に活用されないことがあります。空気の流れを考えたレイアウトの工夫も上手な換気のポイントになります。 また、換気設備の前に家具や大きな物を置くことも避けましょう。

引き戸などの納まりも空気の通り道をふさがないように気をつけたい。

給排気口の掃除で換気性能が大幅向上

換気扇はホコリやチリがつきやすいので、こまめに掃除をすることが、清潔な室内環境をつくる第一歩です。
羽根や屋外フードについたホコリは故障の原因や、風量の低下、商品によっては消費電力増加の他、騒音が大きくなるといった弊害にもつながります。
最近の換気扇は、取り外しが簡単にできるようになっているので、フィルターや羽根を外し、月に1回は簡単な掃除をしましょう。そのためにも換気扇の周囲にあまり物を置かず、すぐに手が伸ばせる状態にしておくことが大切です。
種類により掃除の方法は多少変わりますが、表面をからぶきまたは掃除機でホコリを吸い取る程度の掃除はこまめに、羽根を外した本格的な掃除は月1回程度する習慣をつけましょう。

換気効率が悪くなる汚れは、こまめにお掃除を!(フィルターなしで2年間使用。松下電工製品モニターデータより)

内容監修:松下エコシステムズ 営業本部 蛭海浩 氏