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建物内部も災害に備えた設備で安全な住まいづくり

2012年8月29日更新

万一の災害に備え、住宅の耐震性や免震性に強い関心が集まっています。住まいの安全性を考えた場合、建物そのものの耐震・免震構造に加え、内部空間の安全性も確保する必要があります。防災仕様の建材や耐震性も考えられた設備を導入することで被害を最小限に抑えられるなど、災害直後の暮らしも守られます。リフォームで考えておきたい、大切な家族と住まい、財産を災害から守る住まいづくりをご紹介します。

1耐震・耐火も評価する住宅性能表示

よく耳にする「住宅性能表示制度」。欠陥住宅や施工会社などとのトラブルをスムーズに解決するためのものとお思いの方も多いのではないでしょうか。それだけではなく、住宅性能表示制度は「地震などに対する強さ」、「火災に対する安全性」などの外見からでは判断できない建物の性能の違いを知ることができます。

住宅性能表示は、「安心をはかる10のモノサシ」

住まいに関する性能を10に分類して、国の定めた共通の基準で評価するのが住宅性能表示制度です。例えば、住まいを購入する時に、性能の違いを比較検討して選ぶことができます。住宅性能表示制度は、新築住宅のみならず既存住宅を評価する制度もあります。

■住宅性能表示

1.構造の安定に関すること

地震や風、雪などで倒壊のしにくさや損傷の受けにくさを評価するもの。等級1の目標レベルは次の通りです。

○損傷の防止
数十年に1回は起こりうる大きさの力に対して、「大規模な工事が伴う修復を要するほどの著しい損傷が生じない」こと。

○倒壊などの防止
数百年に1回は起こりうる大きさの力に対して、「損傷は受けても、人命が損なわれるような壊れ方をしない」こと。

2.火災時の安全に関すること

住宅内外で発生した火災に対する安全性能。安全に避難するために、燃え広がりにくさや、避難のしやすさ、隣家からの延焼のしにくさを評価します。 住宅内や近隣の住宅で火災が起きた場合の目標は次の通りです。

○人命や身体が守られること
安全に避難や脱出ができるようにすること。

○財産が守られること
外壁・床・屋根などが火に強いこと。

3.劣化の軽減に関すること

年月を経ても土台や柱が傷まないようにするための対策がどの程度されているかなど、住宅の構造躯体の耐久性能を評価します。

4.維持管理・更新への配慮に関すること

水道管やガス管、配水管などの配管類の点検や清掃のしやすさや、故障した場合の補修のしやすさを評価します。

5.省エネルギー(温熱環境)に関すること

冷暖房を効率よく行うために、窓や壁の断熱を評価します。

6.シックハウス・換気(空気環境)に関すること

ホルムアルデヒドが発散しやすい接着剤を使用している建材などの使用状況を評価。また、健康に暮らすための換気設備状況を評価します。

7.光・視環境(窓の面積)に関すること

東西南北、上方の窓の大きさや方位別の開口部の割合などを評価します。

8.音環境(遮音)に関すること

隣の住戸への音などの伝わりにくさ、床・壁・窓の音に対する遮音性能を評価します。集合住宅などの場合に適用されます。

9.高齢者等への配慮に関すること

暮らしやすいように段差をなくしたり、階段などの勾配を緩くしたりなどのバリアフリーへの配慮を評価します。

10.防犯に関すること

住宅の開口部(ドアや窓など)に、防犯上有効な部品が設置されるなど、侵入防止対策を評価します。

性能評価で優遇されるメリットも

10の各性能は、第三者機関の「指定住宅性能評価機関」が4回にわたり、客観的かつ公平中立にチェック・評価します。設計評価・現場検査に合格した住宅には、「性能評価書」が交付され、それを見れば、各性能の等級や数値がくわしくわかります。
性能は等級(1〜4)で示され、注文住宅を建てるときに、耐震や防火は4等級、音環境は3等級、というように依頼することも可能です。住宅性能表示制度は、任意の制度のため、設計をしてもらう住宅会社、建築家などにあらかじめ相談しましょう。
建築住宅性能評価書(工事段階)の交付を受けた住宅には、住宅ローンの優遇を受けられる場合があります。地震に対する強さの程度に応じた地震保険料の割引などのメリットもあります。
住宅建材や設備を上手に選ぶことで、住まいの性能をアップすることができます。住宅性能表示制度を、良質な住まいづくりに活かしてみてはいかがでしょう。

住宅性能表示制度の仕組みとは?

(1)住宅の性能を評価・表示する仕組み
(2)紛争を処理する仕組み

住宅性能表示制度は、

1.利用するかどうかは選択性による任意の制度です
2.利用時には検査料などの費用がかかります
3.住宅完成時の性能を評価するものです
4.設計・建設評価を受ける方法と、設計評価のみを受ける方法があります
5.既存住宅(中古住宅)にも対象です

2揺れを軽減させて被害を最小限にする

地震の揺れに備えた耐震工法などにより、倒壊への対策が進められてきています。それにより、建物自体の強度は高まりましたが、震災直後のニュースなどで目にする住まいの中は、揺れによる家具の転倒や割れたガラス、食器類の散乱も少なくありません。安全に避難できる経路の確保や、震災直後も安心して暮らせる設備計画を立てるとより安心です。

建物にかかる地震の力を小さくする屋根材

建物を風雨から守る屋根材。古くから耐水性や耐久性などから瓦葺きが主流でしたが、その重さから躯体への負担も大きく、軽量化された屋根材が多く出回っています。実は建物の重さと重心が揺れにも関係しています。
それまで重かった屋根材に軽い材質(スレートや金属系など)を使うことで、建物上部にあった重心が下部に移ります。重心から遠い屋根部分が軽量化されることにより、揺れが起きても揺れの力が小さくなります。揺れの力が小さくなると、揺れの増幅を抑えることができ、家具の転倒などを防ぐことができます。
また、揺れにより、雨といや配管設備の破損などの影響も考えられます。雨といでは、破損しにくいスチール製を選ぶなど、メンテナンスをしやすいように設計しておくのも大切です。
設置が増えているエレベーターは、地震時に振動や荷重などで建物に影響を与えにくい油圧式や低重心構造がおススメです。停電時は、最寄階もしくは最下階にゆっくり下降し、着いたら手で開けられるなど、閉じ込められることもなく安心です。
また、停電や断水など、予期しないさまざまなことが起こります。そんなときに便利な機能が、エコキュートの貯湯タンクです。タンク内の湯水が生活用水として使えます。節水タイプのトイレや汚れにくいトイレなら、いざというときも頼りになります。

揺れを軽減する屋根材などの軽量化も考えたい。

汚れにくい節水タイプのトイレなら、水が特に貴重な時期でも安心。

地震などで停電した場合でも閉じ込められることなく、最寄階もしくは最下階に止まるので安心。

エコキュート貯湯タンク(中央)の便利な機能の一つが、非常用取水栓(右)。いざという時は、生活用水として使える。

家具転倒を防ぐ、造作家具や収納という選択

住宅内で被災した場合、家屋倒壊とともに怖いのが家具などの転倒です。避難経路をふさぐだけではなく、倒れてきた家具に接触してケガや下敷きになってしまう場合も。倒れにくいように低い高さの家具を選ぶことも考えられますが、収納スペースが減ってしまうなどのデメリットに。そこで着目したいのが、壁に取り付けられた造作収納やウォークインクローゼットです。
補強材などであらかじめ補強された壁面に、収納棚をビスでしっかり固定。ユニット式の棚なら、ユニット同士もビスで固定することでさらに強度が増します。
ウォークインクローゼットも同様に壁面固定すると安心です。居室スペースと分離していることから、収納物が散乱して避難経路をふさぐこともなくなります。住宅設計段階で計画しておくと、収納量を損なうことなく、揺れへの安全も確保できます。

人気の薄型大画面テレビは壁にしっかり固定する方法も。配線も壁面内でスッキリする。

収納物が散乱した場合、引き戸なら開き戸のような開閉スペースは不要。小さな力でも開け閉めがしやすい。

安全に逃げられる避難経路を確保

揺れがおさまったら、一次避難――。そのときに収納物やガラスが散乱している状態では、靴を履いていない室内では、安全に避難することもできません。そこで収納物落下を防ぐ対策が必要です。
収納棚の扉には、地震の揺れを感知するとトビラが開かないようにロックするタイプのものがあります。地震でロックされても、ワンプッシュで解除できるなど、使いやすくなっています。
リビングなどの収納棚に多く見られるガラス扉。揺れで収納物がぶつかり割れることも。靴を履いていない住宅内では、ガラスは危険物です。通常のガラスが尖って割れるのに比べ、飛散防止用のフィルムをガラス裏面に貼り付けたスモークガラス扉なら、万が一割れても破片が飛び散ることがなく、ケガをしにくくなっています。後片付けもしやすいのが特徴です。
大きな地震が起これば、地震への恐怖心だけではなく、震災直後の後片付けなど精神的にもダメージを伴います。住み慣れた自宅で、すぐに生活ができるようにしておくと安心です。

夜間は廊下などの保安灯として足元を照らし、非常時には取り外して使えるあかりも。

収納には扉などの落下防止策を。飛散防止用のフィルムをガラス裏面に貼り付けたスモークガラス扉なら割れても危険が少ない。

3燃えにくい仕様で延焼を防ぐ耐火対策

地震や火災など、大事な家族の安全と家財を守るのに考えたいのが建材や内装材。居室内で大きな面積を占めることから、デザイン性が重視され、安全面は二の次になりがち。住まいづくり段階で、火災時の延焼などに対する備えを考慮しておくと、安心で快適な暮らしを実現します。

逃げ遅れを防ぐ、火災認知がポイント

地震による揺れ直後に起こる火災も少なくありません。人命を脅かし、後を絶たない住宅火災。火災で助かるかどうかは、火災発生の早期発見と言われています。燻焼(くんしょう)火災では、1階で発生した火災の煙を2階の警報器が検知するまでに約10分〜11分(※)。火災が発生した1階部分の警報器感知から約3分〜4分後(※)。
警報器には連動型タイプがあります。連動型なら、火災発生を一斉にお知らせし、逃げ遅れを防ぎます。警報音タイプと、最近では、何が起きたのか分かりやすい音声警報機能付きタイプも登場しています。
住宅火災の死亡原因は、6割以上が逃げ遅れ(消防白書より)。警報器設置でいち早く火災を認知することが重要です。

※当社火災実験による。

連動型タイプなら、どの部屋にいても一斉に火災を認知して警報することが可能。

一定以上の揺れを感知すると電力遮断などをコントロールする分電盤。

住宅用火災警報器設置義務について

住宅火災による犠牲者を減らすために、消防法が改正され、住宅用火災警報器の設置が義務付けられています。
詳しくは、居住地域の所轄消防署でご確認ください。

火を使わないことから、火災リスクが少ないIHクッキングヒーター。安全面からも人気が高い。

延焼を防いで大切な家財を守る

建材は、色や素材の外にも選ぶ時に気をつけたいポイントがいくつかあります。カタログなどでチェックしたいのが不燃や準不燃の表示です。自然素材やアレルギー対策で注目される珪藻土でできた調湿建材などは、燃えにくい建材の一つです。
思わぬ火災の原因になるのが、切れてしまいぶらさがった状態のままの電線。道路の電柱から自宅敷地内に引き込むときに、電線や電話線をすっきりまとめて地中化して、宅内に引き込むポールもあります。敷地内で電線が切れてぶら下がり状態になるのを防ぐことができます。また、使用量メーターなどの機器はポール部に設置されているため、検針時も気になりません。
住宅の耐震工法と同時に住宅内の耐震・耐火に備えることで、非常時だけではなく、より便利で快適な暮らしが広がります。

敷地内の電力引き込み線を地中に埋設。電力線が切れても敷地内は安全に。

壁や天井などの建材にも不燃性を選びたい。

貴重品を守る床下収納タイプの耐火金庫。

■燃焼比較テスト

■炎が燃え広がる順序

※建築基準法では、防火地域、準防火地域に建設される建物に、延焼のおそれのある開口部には、防火戸、その他の政令で定める防火設備を使用するように定められています。詳細は、住まいづくりを依頼する住宅会社、建築家などに確認してください。

4太陽光発電+蓄電池で電源を確保

地震などで万一、停電が発生すると、照明が点かないだけでなくさまざまな不便が生じます。冷暖房やIHクッキングヒーター、お風呂、パソコン、電話、テレビなど、生命や健康の維持、情報収集や外部との連絡に必要な設備のかなりの部分が使えなくなります。トイレもタイプによっては、水が流せなくなることがあります。このため非常時に備えた電源の確保が重要になります。

太陽光発電と蓄電池のセットで災害時も安心

非常用電源として有効なのが、太陽のエネルギーを電気に換える太陽光発電設備です。しかし太陽光発電設備を単体で使用した場合、太陽の出ない夜間は発電しませんし、昼間でも発電量は天候に左右されます。
そこで、太陽光発電設備を家庭用蓄電池とセットで設置すれば、太陽光発電や系統電力で蓄電した電力を、蓄電池から取り出すことができるようになります。
停電時、晴れた昼間は太陽光発電の電力を使用し、太陽光で発電できない夜間や天候不順のときは蓄電池の電力を使えます。これにより、非常時にも安定した電源を確保することができます。
 また平常時でも、日中は太陽光発電の電気を使ったり、夜間の電気料金が安い時間帯に電力を蓄電池に溜めて日中に使うなど、電気代の節約にもつながります。
クリーンエネルギーとしても大注目の太陽光発電設備。導入の際は、蓄電池とセットにすればより安心です。

■停電時の動作例

エコと省エネの観点から注目を集める太陽光発電設備。蓄電池とのセットでさらに安心。