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断熱・換気・結露対策で健康的で快適な住まい

2007年3月更新

人にも住まいにも欠かせない快適な温熱環境
住まいの高断熱・高気密化は、寒さやすきま風のない快適な住環境を提供する反面、換気不足や結露、シックハウス症候群などの弱点も生み出しています。1990年代から国は環境問題、省エネの観点から高断熱・高気密住宅政策を推し進めており、さまざまな断熱工法が研究開発されてきています。健康的に過ごせ、住まいも長持ちさせるには、断熱、換気、結露対策を総合的に考えることが大切です。断熱リフォームの際も、部屋全体の空気環境を考えましょう。

1住まいの断熱に欠かせない換気・結露対策

快適な温熱環境に欠かせない住まいの断熱。熱の出入りを減らして、冬の寒さだけではなく、夏の暑さを和らげるのにも断熱は欠かせません。 熱の出入りを最小限に抑えるために施す断熱施工の良し悪しは、断熱工法や施工技術による気密性の高さに左右されます。 また、高断熱・高気密の住まいの性能を高め、より快適に過ごすために欠かせないのが、換気計画と結露対策です。
さまざまある断熱工法の特徴を知り、気密化・換気・結露を総合的に考えることが大切です。そこで今回は、換気・結露対策とは切って考えにくい断熱工法の特徴についても言及していきます。

冬も夏も快適に過ごせる住まいの高断熱化

昔から日本では住まいは、夏の暑さをしのぐために風通しが重んじられ、冬はすきま風に耐えながら炬燵(こたつ)などの局所暖房で寒さを我慢してきました。住まいの高断熱化はこのすきま風や無駄な換気を防ぐために、屋根や壁などに断熱材を使い、窓にはペアガラスを入れるなどして、熱の出入り(損失)を抑えることを目的にしているものです。
自然室温(冷暖房なしの室温)を維持しやすく、暖房しても熱が逃げにくく省エネにもなります。気になる結露も防ぎ、夏の暑さを和らげるのも断熱です。日射による熱や外気の熱を遮断(断熱)して室温の上昇を防ぎ、エアコンの効きをよくするメリットもあります。

家族構成やライフスタイルを考慮した、断熱計画で住まいも人も快適に。

工務店やハウスメーカーにより異なる断熱工法

断熱にはさまざまな工法があり、ハウスメーカーや工務店などの施工会社により異なります。施工会社に左右されずに間取りやキッチンなどの設備が自由に選べるのとは異なり、ハウスメーカーや工務店への依頼決定がイコール断熱工法選択に直結します。
施工の方法や、断熱材の種類・厚さ、防湿層や通気層の材質、換気設備、費用などそれぞれ違います。また、断熱工事は施工者の技量、手間と時間のかけ方によっても断熱性能に差が出てきます。
工務店やハウスメーカーの説明をよく聞き、地域の気候条件などを考慮に入れ、家族構成やライフスタイルなどの条件や希望を伝えることが大切です。また、住宅性能表示制度などの第三者による客観的なシステムを利用すると安心です。

2住空間を有効利用できる高断熱住宅

適切な断熱が施された住まいは、熱の出入りを抑え、住まいを一定温度に保ちます。北向きの部屋でも冬は室内が暖かく、夏には屋根への日射で暑くなりやすい2階の部屋でも快適に過ごせるなど、季節により敬遠されていた部屋やスペースも有効に使うことが可能です。さらに、エアコンや床暖房などの冷暖房の効きもアップして、省エネにもつながります。

床や壁が冷えずに暖かく感じる“高断熱化”

体感温度は、「(床や壁の表面温度+室温)÷2」と言われ、暖房をしていても床や壁の温度が低いと寒く感じます。高断熱化すると壁や床が冷えにくいことから、同じ暖房方法でも暖かく感じます。
また、北側の部屋など寒い部屋も高断熱化することで室温を一定に保つことができます。寒いからと使われていなかった部屋も快適になり、住まい全体を有効に使えます。特に冬場は、暖かい部屋からトイレや廊下などに行くと、急激な温度変化により脳血管障害などのヒートショックを起こしやすくなります。高断熱化で温度差を少なくすることで、家族みんなが安心して暮らせる住まいになります。

■断熱による室温・表面温度と体感温度の違い(*)

地域により異なる、住まいに必要な断熱性能

冬の寒さが厳しい北海道と、暑くて雨も多い沖縄というように、気候が違えば家づくりも異なってきます。断熱の必要レベルは、外気温、日射量などによっても変わってきます。また、快適に過ごすための断熱性能は、1日中家で過ごすことの多い場合や在宅時間が短い場合、家族構成やライフスタイルなどによっても違ってきます。 次世代省エネ基準では、気候条件によって全国を6つの地域に分けて断熱気密性能を定めています。
公的住宅ローン機関などでは、この基準に基づいて断熱材の厚み、窓やドアなど開口部の断熱気密性能などを決め、それを満たした住まいであれば割り増し融資が受けられるなどのメリットもあります。

■内断熱と外断熱(**)

内断熱、外断熱など多様化する断熱工法

住まいの高断熱化は北海道から普及し、本州などへ広がり、マンションへの適用などで注目を集め、さまざまな工法や新しい断熱材などが開発されています。
よく耳にする、「内断熱」と「外断熱」。それぞれの大まかな特徴は次の通りです。細かな点は各種工法により異なり、部位によっては工法を組み合わせることもあります。

◎内断熱(充填断熱工法)
構造材の中にグラスウールなどの繊維系断熱材をすきまなく詰める工法で、木造住宅に多く見られます。外断熱に比べローコストの一方で、その性能が施工者の技量に左右されやすいと言えます。

◎外断熱(外張り断熱工法)
外壁の内側にボード状の断熱材を貼る工法で、最近増えています。柱や梁から熱が逃げにくいことから断熱性能が高い。工事費は内断熱に比べてかさみ、外壁も厚くなります。

3住む人にも家にも必要不可欠な換気システム

寒さやすきま風のない快適な住空間に欠かせない断熱では、住まいの高気密化が進み、換気対策も欠かせません。生活には水蒸気、におい、ほこり、炭酸ガスなどが伴います。その汚れた空気を外に出し、新鮮な空気を取り入れるのが換気の役割です。換気は、健康のためだけでなく、結露やカビ、建材の腐食などを防ぎ、住まいを長持ちさせるためにも重要です。

住まい全体を考慮した換気システム計画を

高断熱・高気密化の住まいでは、通風などの自然換気だけでは不十分です。天気や風向き、風量に左右されないで、常に一定量の換気をする機械換気が必要です。
機械換気には、第1種換気(給気も排気も機械的に行うもの)や第3種換気(強制的に排気し、給気は自然に任せるもの)があります。必要な換気量は住まいの広さ、間取り、居住人数などによっても違います。キッチンやトイレ、浴室などにある換気扇を活用して、住まい全体での換気を考えるといいでしょう。

■換気の働き

調理時のみならず、24時間換気するキッチン換気扇も。

新築では義務付けられ、シックハウス予防に有効

新築やリフォームした住まいに入居した人が、目のチカチカ、吐き気やめまい、頭痛を起こすシックハウス症候群が問題になっています。建材や家具、日用品などから出るホルムアルデヒドやVOC(トルエン、キシレンなど)の揮発性有機化合物が一因と考えられています。
シックハウス対策として、ホルムアルデヒドを含む建材の使用制限とともに、24時間換気システムが改正建築基準法によって義務付けられています。住宅の場合、0.5回/1時間以上の換気(2時間で部屋の空気が全部入れ替わる)ができるシステムが必要です。

■24時間換気システムの一例

※『快適で健康的な住宅で暮らすために』(国土交通省)より

目詰まりなど換気機能低下を防ぐお手入れを

すきま風のない高断熱環境の住まいでは、換気することで寒く感じたりします。換気による熱損失を抑えるために外気と室内の空気の熱を交換する熱交換形換気システムもあります。また、一部屋ごとに同時に給排気できるファンシステムもあります。
いずれの換気システムも長期間使用していると、目詰まりして機能が低下していることもあります。定期的にチェックするようにしましょう。 また、ダクトは短くまっすぐに設置すると効率的です。換気装置やダクトを室内に露出させるようなデザインにすれば、メンテナンスもしやすくなります

部屋ごとに給排気するタイプの換気システムも。

床暖房などの空気を汚しにくい暖房設備の選択も重要に。

4冬だけでなく夏でも必要な結露対策

暖かい空気は冷たい空気に比べて多くの水蒸気を保つことができます。冬、暖房された空気が、壁やドア、窓ガラスなどの冷たい場所に触れて結露する現象はよく知られています。夏でも同様のことが起こります。暑い空気が冷房で冷やされることで温度差が生じ、床下などに結露することも。結露はカビの原因にもなり、アレルギー疾患や建材の腐蝕を促すことがあります。結露は予防策が重要です。

目に見えない壁内結露は、防湿層と通気層で予防

水蒸気はわずかなすき間でも潜り抜けるので、壁の内部にも入り込み内部結露を起こします。壁や窓にできる表面結露と違い、内部結露は見えにくいことから結露が進行し、断熱材の性能が落ちたり、建材が腐食したりすることもあります。
内部結露を予防するには、内装材のすぐ外側にポリエチレンフィルムを貼って防湿層を作り、室内の水蒸気が入り込まないようにします。また、水蒸気が壁内に滞らないように、外装材のすぐ内側に通気層を作ったり、水蒸気だけを通すシートで防風層を作ったりするのも結露予防になります。

■断熱層の基本構成・外壁の例(*)

結露しにくい樹脂製サッシやペアガラスも登場

外気に直接接している窓やドア、ガラス戸などの開口部も結露しやすいものです。2枚のガラスで乾燥空気をはさんだペアガラスなどは、温度を伝えにくく結露の心配がありません。寒冷地なら低放射複層ガラスにすればより有効です。
アルミ枠はアルミ部分が外気で冷えて結露を起こしやすい部分です。結露の水分が壁の内部に染み込むことでカビなどが発生しやすい状態のため注意が必要です。枠が樹脂や木製になっているサッシや二重サッシにすると結露しにくくなります。

■ペアガラスの構造

調湿効果のある建材や、吸湿効果の高いシートでも結露対策を。

結露予防のために、日常生活で気をつけること

調理や入浴といった日常生活の中でも水蒸気は発生します。住まいに使われている木材自体にも水分がたくさん含まれているので、日ごろから結露には注意が必要です。開放型の石油ストーブやガスファンヒーターでの暖房、室内に洗濯物を干す、ストーブの上でやかんなどでお湯を沸かすなど、たくさんの水蒸気を出すことはなるべく避けたいもの。調理するときは必ず換気扇を回し、窓を開けるなど水蒸気を早く外に出すようにしましょう。

水蒸気の発生しにくい、IHクッキングヒータ活用なども有効。

内容監修:鈴木大陸氏(北海道立北方建築総合研究所環境科学部居住環境科科長)、宇梶正明氏(アーキテック・コンサルティング)

(*)印は、(財)建築環境・少エネルギー機構『自立循環型住宅への設計ガイドライン』より。
(**)印は、『熱と環境 VOL.50』より。