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子どもを健やかに育む空間づくり

2012年8月29日更新

「子どもが生まれるから」、「子どもの小学校入学」というように、夫婦二人の生活から、子どもの誕生や成長を機に住まいづくりやリフォームを考える人も少なくありません。子どもにとって住みやすく、大人にとっても子育てしやすい、快適な住まいづくりのポイントをご紹介します。

1「子ども」と「住まい」の関係とは?

子どもの誕生や入学を機に住まいづくりを考える方が多いようですが、住まいの主役はあくまで親。子どもにとっては、住まいは「成長して巣立っていく場」なのです。子どもを健やかに育み、無事に巣立たせるため、言わば「子育て期の住まいづくり」を考えてみませんか?

子どもが子ども時代に学ぶべきことを、 「住まい」を通じて親が教える

子どもにとって大切なのは自分のことは自分ですることです。自分のベッドメイキング、掃除、自分のものの片付け・・・など、その子の年齢に合わせて自分のことは自分でできる環境をつくることが基本です。

自分のことは自分でできる環境づくりがポイント。

間取りではなく、場取りが重要

子育て期間は意外と短いものです。子どもが独立して親だけで過ごす期間の方がずっと長いのです。固定的な子ども部屋としてつくってしまうと、子どもが独立した後、単なる荷物部屋になりかねません。
子どものためのスペースは、その後も親の人生のステージに合わせて、友人が集まる場、趣味を楽しむ場、介護用の場(バリアフリーにする必要があるかも)など様々な場として活用できるようにしたいものです。パネルなどで仕切って使用目的に合わせた「場取り」や「間取りの変更」ができるようにしておきましょう。

2子どもの居場所をつくる

子どもの居場所は、成長に伴って必要な条件が変わってきます。赤ちゃんのときは「安全にのびのびと遊べるスペース」、幼児や小学生には、“一人で寝る場所+リビング”など、「家族と一緒に遊んだり、勉強する場所」がいるでしょう。
また、子どもの健康やアレルギー対策を考えると、部屋の仕切りには湿度調整ができる珪藻土壁やボード(現在は仕上げされた珪藻土パネルもあります)を使ったり、床は清潔を保ちやすい無垢のフローリングにするなどの工夫をしましょう。

兄弟の場合、部屋は共有せず、パーテーションなどで仕切る工夫を

子どもは子どもなりの個性を持っているもの。一人ひとりの成長を大切にする意味でも、狭くてもいいし、完全に独立した部屋でなくてもいいので、パーテーションで部屋を区切って、個々のスペースをつくってあげましょう。
よく兄弟一緒の部屋がありますが、散らかしていつも怒られるのはお兄ちゃんというのでは可哀想です。

完璧な設備のホテルのような子ども部屋はいらない

「子ども部屋=勉強部屋」と親は思いがちで、子どもが部屋に入れば安心しています。しかし、子どもにとって子ども部屋は、親のうるさい監視からの避難場所にもなっています。子どもが勉強する環境をと考えるなら、ダイニングキッチンのテーブルやカウンターキッチンの片隅など、親の目と声が届く場所の有効利用を考えた方がいいかもしれません。
また、子ども部屋に休むためのベッド以外の机、パソコン、オーディオセット、テレビまで揃っていては、子どもが自分の“城”から出てこなくなるのは目に見えています。なんでもある子ども部屋では“下宿のよう”になってします。

目が行き届くと子どもも親も安心です。

内開きのドアを開けておく…子どものプライバシーの尊重

「プライバシーを大切にすることは鍵をかけた個室を与える」ことではありません。子ども部屋のドアは邪魔にならないように内側に開くドアか引き戸にして、いつもは開けたままにしておき、着替えや寝るときだけ閉めるぐらいがいいでしょう。
家族で暮らしているのですから、部屋にいても家族の気配は感じていたいもの。風通しもいいし、狭い家でも閉塞感が少ないものです。子ども部屋のプライバシーは、ドアが開いていても勝手に入らない、入るときはノックや声を掛けて、など親子がマナーを守ることで十分に尊重されます。

個室にいても気配が感じるよう、ドアは開けたままにしておきましょう。

3家族と一緒の生活を楽しむリビング

リビングは家族みんながそれぞれに楽しめ、くつろげる場にしたいものです。大人はソファでのんびりするのが好きでも、子どもは年齢によって、走ったり、ふざけたり、おもちゃで遊んだりと楽しみ方はいろいろ。
リビングの片隅に子どものおもちゃコーナーをつくる、ダイニングテーブルに子どもがゆっくり勉強をできる場所を確保する、大画面のホームシアターなど、家族が一緒に楽しめる演出をしましょう。

リビングの中に「子どもスペース」を

赤ちゃんはハイハイするのが好き、幼児も夢中になって遊ぶときは周りのことは全く気にしていません。子どもが自由に安全に遊べるスペースをリビングの中につくってあげましょう。
パネルボードなどで区切れば、来客のときもあわてません。おもちゃで遊んだあとは、子どもでも片付けられるような収納棚があると便利です。子どものお友だちが遊びに来たときも、そのスペースにおもちゃを出してあげて。
子どもは隅っこや隠れ家っぽいところが好き、パネルや棚で上手に空間を区切るといいでしょう。

一人で片付けられるよう、収納棚を活用。

大きなダイニングテーブルは、親と子の「仕事机」にも

リビングが心地いい場所なら、家族は自然に集まってくるもの。「宿題をやりなさい」と親が言うだけでは子どもは言うことを聞きませんが、親がリビングで本を読んでいたり持ち帰った仕事をしていれば、子どもも何かやろうという気分になってくるもの。
ダイニングテーブルはスパイスなどもすべて片付け、本や宿題を広げられるようにします。すぐ近くには、お父さんの仕事バッグや子どものランドセルや道具を入れる場所を確保してあげます。親が近くにいれば、家事の合間に勉強を見てあげることもできるし、子どももわからないことをすぐに聞けます。

心地いい場所は、家族の集う場に。

PCや本棚を置いた書斎コーナー

リビングの一角に、パソコン(PC)や辞書、地図などの本棚のコーナーがあると便利です。すぐ使えるし、子どもにわからないことを聞かれたときも一緒に調べることができます。また、みんなで使うパブリックスペースにPCがあれば、子どもが危険なサイトを見ていたら注意することもできるでしょう。

親自身がリビングでゆったり楽しむ

家族で楽しむといっても、それぞれ興味が違いますから、無理に一緒に行動することはありません。親が自分の興味のあることで楽しんでいれば、親にも心の余裕ができます。
中高校生は親にとっては距離の取り方が難しい年頃ですが、大画面のホームシアターで話題のDVDを見たり、間接照明で演出した大人の空間でジャズを聴いたりするのは、会話が自然に進むものです。

大画面のホームシアターなど、リビングでゆったり楽しむ演出も。

4子育てしながらの家事が楽になる設備

子どもが中学生くらいまでのお母さんは、ほっとする間もないくらいに忙しいものです。毎日の家事をこなす中で、世話や事故防止にも手が抜けません。お母さんの快適は家族みんなの快適に通じます。子育て中の家事が楽になるアイデア、そして夫や子どもたちが喜んで家事をする工夫を考えてみましょう。

子育てをサポートする家事動線を考えた間取り

赤ちゃんや幼児は、大人の想像を超えたことをします。お母さんは家事をするときでもいつも視野の隅には子どもの姿を入れて見守っていたいものです。そのためには、炊事、洗濯、お風呂の給水など、多様な家事の動線があちこちにばらつかず、左右に動くだけですむ「カニ歩き」動線の配置になっていると、死角が少なく、無駄な動きがありません。お風呂やキッチンといった子どもの好奇心を刺激し、事故を起こしかねない場所にも目が行き届きやすくなります。

■カニの横歩きプラン

死角を作らない動線で、安全・安心に。

■水まわりのカニの横歩き動線とサーキット動線

効率のよいサーキット動線の間取りで子育ても楽に。

家事と子どもの相手を両立する工夫

リビングを見ながら料理ができるアインランドキッチンなら、赤ちゃんや幼児の様子がわかるし、子どもの話し相手もできるので安心です。食材を洗ったり、野菜の皮むきなど、子どもや夫も調理に参加しやすいものです。
掃除機、洗濯機、電子レンジなど、子どもでも使いやすい機種を、使う場所の近くに出しやすいように収納しておくと気軽にお手伝いを頼めるし、ふだんからお母さんがやっているのを見ていると自然にできるようになるものです。

踏み台つきのキッチンで子どものお手伝いを安全にサポート。

「子どもがいると洗濯物が多い!」の悩み解決

赤ちゃん時代はよだれや汗、幼児期や学童期は汗や汚れ、中高校生は部活の汚れ物…、子どもが生まれると洗濯物の量は倍増。
雨や雪など天候の関係や、アレルギーの関係で洗濯物を外に干せないことも(共働きの家庭も)。室内で干せる工夫や全自動洗濯乾燥機があるとお母さんのストレスも減るし、子ども自身でもできるようになるでしょう。

天候を気にせず、室内干しで楽々、清潔に(収納式のもの干し竿)。

水まわりを使いやすくするオープンサニタリー

歯磨き、顔を洗う、外出やトイレの後の手洗いなどの基本的な生活習慣は、親がやらせようと言い聞かせても、なかなかやりたがらないもの。
子どもが習慣として身につけるには「自分でできる」ことが大切です。自分で水を出して、洗って、水を止めて、タオルで拭くといった一連の作業を自分でひとりでできると、うれしくて自分からやるようになります。
蛇口は子どもでも使いやすいユニバーサルデザインのものを選ぶ、手が届かないときは踏み台を用意するなど細かい気配りを。

汚れやすい洗面スペースは、肘から伝わってこぼれる水を防ぐ大きなボールの洗面台もあります。

毎日のことだから、トイレにも心配りを

子どもが複数いると朝のトイレや洗面スペースは時間が重なって大騒ぎになります。ゆっくりトイレに入れるように(健康上の理由からも)、できればトイレは2つ欲しいものです。
思春期になると、女の子は「お父さん」の存在を煙たがったりするもの。トイレには目立たないようにサニタリーボックスを配置したり(ときには壁面収納にして額をその上にかけるなど)、脱衣場に家族別の下着の引き出しをつくるなど、プライバシーを守る工夫をしてあげましょう。

アームレスト付きの便座で立ち上がり時にバランスをくずして、
便器に落ちてしまうのを防ぎます。

子どもが自分でできる収納にすれば、家事はとても楽になる

収納の原則は、欲しいところで出せて、しまいたいところで収納できるように生活に合わせて配置することです。
リビングは、子どもが小さいときはすぐ汚れるので何回も掃除機をかけることになりますが、収納が玄関脇など遠くにあったらそれだけで億劫になります。洗濯物をたたんでもしまう場所が遠いとついそのままにして、洗濯かごから次のタオルを取っていくことにもなります。
子どもが帰ってきた途端に、家の中が散らかり出すと、お母さんのストレスは一気に高まります。子どもに片付けなさいと言っても、目の前のものを見えないところに動かすだけです。子どもでもわかりやすく、出し入れしやすい収納を必要な場所につくることが大切です。もちろん子どもの成長に従って、必要なものも違うので、収納方法も変化させていきましょう。

成長によって異なる収納物。稼動式タイプの棚などを用いて、収納しやすい工夫を。

内容監修:建築家 天野彰氏