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環境に配慮した自立循環型住宅

2012年7月25日更新

人にも環境にも配慮した住まいづくり
猛暑や寒波などの気候変動の原因とも言われる地球の温暖化。CO2(二酸化炭素)をはじめとした、温室効果ガスが大気中に大量に放出され、地球全体の気温が上昇する現象のことです。 私たちは快適な暮らしを手に入れる一方で、環境への負荷になるCO2を大量に排出し続けています。中でもCO2の排出量が増え続けているのが、家庭からのエネルギー消費量です。住まいとして機能している時も常にエネルギーを消費し、CO2を排出し続ける住宅。自立循環型住宅は、その住宅からのCO2排出を減らし、快適性は損なわずに人にも環境にもやさしい住まいです。リフォームで、地球環境に負荷をかけない住まいづくりを考えたいですね。

1注目を集める「自立循環型住宅」とは?

人にも環境にもやさしい住まいとして注目を集める自立循環型住宅。気候や敷地特性などの住宅の立地条件やライフスタイルに応じて、自然エネルギーを最大限に活用することで、エネルギー消費を減らしてCO2の排出量を減らそうというものです。同時に、住宅や設備機器、家電機器の設計や選択にも注意を払い、居住性や利便性、快適性を損なわずに、向上させようとするものです。

実用化されている技術や手法でCO2削減を実現する住宅

地球環境への負荷をかけない住まいづくりが求められる中、自立循環型住宅という住まいづくりが注目を集めています。
自立循環型住宅は、可能な限り自然エネルギーを活用して、居住時のエネルギー消費量の削減を実現するする住宅です。現在、実用化されている技術(設備機器・家電機器)や一般的な手法(通風や採光などの自然エネルギーの活用)を組み合わせることで実現が可能な住宅です。
特殊な技術や新しい技術を取り入れるのとは異なり、今すぐに取り入れることができるというメリットがあります。また、環境への配慮から我慢を強いるものではなく、居住性や機能性に加え、快適性の向上もめざしているのも大きな特徴です。

■自立循環型住宅のイメージ

風や日射などの自然エネルギーを、上手に住まいに取り込み、住宅からのCO2排出量を減らす自立循環型住宅。(*)

自立循環型住宅の定義

財団法人 建築環境・省エネルギー機構のガイドラインでは、次のように定義されています。
「自立循環型住宅とは、気候や敷地特性などの住宅の立地条件および住まい方に応じて極力自然エネルギーを活用した上で、建物と設備機器の設計や選択に注意を払うことによって、居住性や利便性の水準を向上させつつも、居住時のエネルギー消費量(二酸化炭素排出量)を2000年頃の標準的な住宅と比較して50%まで削減可能で、2010年までに十分実用化できる住宅」

2ライフスタイルにより異なる3つのタイプ

自立循環型住宅は、敷地条件や気候特性、立地条件などに加え、住む人のライフスタイルの指向を考慮して、最も適切な方法でエネルギー消費の削減を実現するものです。そこで、自立循環型住宅づくりの目安になる3つのタイプの特徴をご紹介します。

あなたは自然派? それとも設備指向派?

自立循環型住宅では、ライフスタイルの指向を「伝統的自然生活指向」、「自然生活指向」、「設備生活指向」の3つのタイプに分類しています。 ライフスタイルを考慮した上で、立地や周辺環境条件の中で取り入れることのできる技術や手法を、タイプ別にイラストでご紹介します。

●伝統的自然生活指向

変化のある環境を楽しむことを大切にして、自然にこだわる。

自然風や日射熱などの自然エネルギーを最大限に効率よく利用。夏期は日射遮蔽効果を高める工夫もされた開放的な間取り。(*)

●自然生活指向

自然を活用しながら、省エネルギー設備利用と両立させる。

日射熱を取り込むサンテラスや天窓から明るい光(昼光利用)など、できる限り自然エネルギーを取り込む工夫をした住宅。(*)

●設備生活指向

安定した室内環境を希求し、省エネルギー設備を優先して利用する。

自然エネルギーをできる限り利用しつつ、個室部分の室内温熱環境では設備機器を積極的に活用した住宅。(*)

3自立循環型住宅づくりの考え方

自然エネルギーや高効率設備機器を上手に取り入れ、エネルギー消費を削減して人にも地球環境にも配慮した住まいを実現する自立循環型住宅。環境への配慮の一方で、住まいとしての快適性や利便性も欠かせないポイントです。

建てたい住まいの具体的なイメージを持とう

まず、どういう住まいをつくりたいのかを考えます。具体的には、どういう土地(敷地)を選びたいのか、建て替えならどういった土地なのかという、敷地条件(日当たり、風通し)、地域特性(気候など)、周辺環境(騒音、防犯、治安、近隣関係)、ライフスタイル(共働き、余暇の時間の過ごし方)などを考え、どういう家に住みたいのかを決めます。
建てたい住まいの具体的なイメージが決まったら、その中でエネルギー消費を効率よく減らすためにどういう方法を取り入れるのかを、設計(プランニング)段階で検討します。建てたい住まいのイメージを建築家や工務店などに具体的に伝え、自立循環型住宅を設計してもらいます。

快適性を損なわずに、建てたい住まいのイメージに合わせた適切な方法を取り込んで環境にやさしい住まいを実現。

イメージを具現化するために、取り入れたい順番は?

自立循環型住宅は、まず「自然エネルギーを最大限に活用する」ことからはじまります。自然の風、自然の光、自然の熱(太陽熱)の3つの自然エネルギーを住まいに取り込みます。自然エネルギーを活用するのに欠かせないのが、住宅の外皮と呼ばれる壁や屋根、窓、床などの室内空間を囲む外皮の設計です。
とは言え、自然エネルギーだけでは、快適な住環境を保つのは難しいのが現状です。そこで、次に取り入れたいのが、ライフスタイルと地域特性や周辺環境に合う高効率の設備選びという順番で取り入れます。設備については、消費電力の高いものから高効率の設備を取り入れると、より効果的です。

■家庭における消費電力量ウエイトの比較

※出典:資源エネルギー庁『平成16年度電力需給の概要(平成15年度推定実績)』より
(注)割合は四捨五入しているため、合計は100%とは合いません。

リフォームや家電の買い替えでも積極的に取り入れたい

新築に限らず、リフォーム時や設備機器・家電機器の買い替えでも取り入れやすいのが自立循環型住宅の特徴です。
例えば、バスルームのリフォームでは、断熱浴槽や断熱性の高いバスユニットの採用をはじめ、バスユニットを収める周辺部分の施工では、断熱をすることで壁や床下に熱が逃げることが少なくなります。それによって冷めた湯の追い焚きが減り、エネルギー消費の削減に効果的です。また、熱が逃げづらいことから、バスルームを温かく保つことができ、冬場のヒートショック対策にもつながります。

浴室リフォームで検討したい、断熱性の高い浴槽やバスユニット。

4「自立循環型住宅」をつくる13の方法

自立循環型住宅は、すでに実用化されている技術や一般的な手法を組み合わせることで実現可能な住宅です。具体的には、「自然エネルギー活用技術(5種類)」、「建物外皮の熱遮断技術(2種類)」、「省エネルギー設備技術(6種類)」の13種類の方法があります。
ライフスタイルに合わせ、できることから今すぐに取り入れることが可能な技術です。新築に限らず、リフォーム時などの住宅のプランニングを考える際にも取り入れたい、13の具体的な方法についてご紹介します。

自然エネルギーを最大限に活用したい

都市や郊外、海辺や山間部など、住まいの周辺環境や条件はそれぞれ異なりますが、自然風や太陽光・太陽熱などの恩恵を、少しの工夫で最大限に取り入れることができます。

●「自然風の利用」で冷房エネルギー消費を削減

特に夏場の夜間などはエアコンに頼らずに、自然風を上手に取り込むことで、快適な温熱環境を実現できます。自然風を利用するときに着目したいのが、卓越風(局地風)と呼ばれる、ある期間を通じて頻繁に吹く風向です。敷地周辺の環境によっても異なりますので、卓越風の方向を確認し、それにあわせた建物の形状やプランニング、開口部の設置で住宅内の通風経路を確保します。
ほかにも、開口部に接する庭(風上)に植栽や池を配置することで、その上を通過した風の熱が下がり、より快適な自然風を取り込むことができます。

■自然風の利用(*)

太陽熱や日射など最大限に取り込む工夫を。

●「昼光利用(太陽光の利用)」で照明エネルギー消費を削減

住宅内に光を上手に取り入れることで、快適な光環境を確保できます。天候や時間的変化から明暗の差が変化する自然光を取り入れるのは、照度確保のみならず、視覚的な快適性を高める効果もあります。
敷地や日照条件によって左右されやすい昼光利用は、開口部から多くの光を取り入れる採光の工夫や、吹き抜け、天窓、室内の反射などを利用した導光の工夫をします。開口部には、光を調整できるカーテン、ブラインド、障子などを設置しておくと、夏場もより快適に昼光を取り込むことができます。

■昼光利用(太陽光の利用1)(*)

吹き抜けや天窓などの工夫で、明るさを確保。

●「太陽光発電(太陽光の利用)」で環境負荷を低減

太陽光の利用で、昼間は発電をして消費電力をまかなう太陽光発電。日照時間の長短や天候、立地条件により異なりますが、夜間は買電するものの、発電をする日中は余剰エネルギーを売電することでランニングコストを抑えることが可能です。
太陽光発電は曇りの日でも可能ですが、日陰では難しく、日照時間の短い立地などでは、発電効率が悪くなります。太陽光の利用効率で注意したいのが方位で、真南になるように設置します。

■1日の発電量と使用量の推移イメージ

■太陽光発電(太陽光の利用2)(*)

●「日射熱の利用(太陽熱の利用)」で暖房エネルギー消費を削減

日射熱を開口部などから取り入れる方法は、パッシブソーラー暖房とも呼ばれ、注目を集めています。日射熱に大きく関係する地域の気候特性などをもとに、集熱(取得熱量を増やす)、断熱(取得熱損失を抑える)、蓄熱(取得熱の活用で室温低下を防ぐ)の工夫をします。
集熱面となる開口部は真南から東西30o以内に配置し、開口部の確保と同時に、断熱性の高い建具を使うことで熱の損失を防ぐなどの配慮も必要です。開口部のガラスを選ぶときには、断熱性能が高く、日射透過率の大きいものを選択するとよいでしょう。

■日射熱の利用(太陽熱の利用1)(*)

日射透過率の高いガラスの採用や天窓などの工夫で日射熱を取り込む。

●「太陽熱給湯(太陽熱の利用)」で給湯エネルギー消費を削減

住宅内のエネルギー消費の約30%(2000年の一般的な住宅の場合)を占めるのが給湯です。自然エネルギーの太陽熱を利用する給湯システムの導入は、給湯部分の省エネルギー効果のみならず、住宅全体のエネルギー消費の削減にも大きく関わってきます。
補助熱源(ガス、または石油)との組み合わせで導入されることの多い太陽熱給湯は、最大50%程度のエネルギーを自然エネルギー(太陽熱)でまかなうことも可能です。日照が確保できるかどうかが最大のポイントですが、省エネルギー効果の高い部分ですので、検討してみてはいかがでしょう。

■太陽熱給湯(太陽光の利用2)(*)

建物外皮の熱遮断で室内環境を快適に保つ

自然エネルギーや省エネルギー設備を最大限に活かすのが、建物外皮の熱遮断性能です。自立循環型住宅を実現するのには、併用による相乗作用も重要なポイントです。

●「断熱外皮計画」で暖房エネルギー消費を削減

室内の温熱環境を快適に保つのに欠かせないのが断熱です。自然エネルギーの太陽熱(日射熱)を室内に取り込んでも、断熱がされていなければ熱が外に逃げてしまいます。きちんと断熱をすることで、自然室温の維持も可能で、暖房エネルギー消費の削減にもつながります。
室内では、空気温度(室温)と体感温度(人が感じる温度)、平均放射温度(窓・壁・床周辺などの表面温度)があります。屋根・天井・床、開口部、通気止めの断熱材設置や湿気防止により、不快な室温のむらが減り、快適な温熱環境を実現できます。

■断熱外皮計画(*)

建物外皮の表面温度上昇を抑える、日陰をつくる庭木などの植栽も有効。

調湿機能のある壁材などの使用で快適な環境を保つ工夫も。

●「日射遮蔽手法」で冷房エネルギー消費を削減

住宅内の温熱環境に大きく影響するのが日射です。寒い季節は、日射熱を取り込むことで暖房エネルギー消費の削減になりますが、逆に暑い季節では、冷房エネルギー消費量が増えてしまいます。
夏場の室内を涼しく快適に保つには、通風と日射遮蔽が重要なポイントです。日射は、季節と建物部位の向きに大きく左右されてしまうので、建物外皮の方位への配慮をし、内壁面などの表面温度の上昇を抑えます。開口部には、軒・屁や庭木、壁面緑化なども有効です。

■日射遮蔽手法(*)

省エネルギー設備はエネルギー効率の高い機器の選択を

快適な暮らしに欠かせない住宅設備機器や家電機器。省エネルギーの観点から、立地やライフスタイルに適した正しい住宅設備・家電機器の導入は、快適で環境にも配慮した住宅づくりに不可欠です。特に家電機器は、すぐに取り入れやすい部分です。

■住宅内エネルギー消費量の用途別割合(*)(2000年の一般的な住宅の例)

●「暖冷房設備計画」で暖房・冷房エネルギー消費を削減

断熱外皮と日射遮蔽の対策に加え、室内環境をより快適に保つのが暖冷房設備です。エネルギー消費量は設備の使用状況(世帯構成や在宅時間など)によっても変わってきます。
エアコン暖房機の機器選定では、COP(Coefficient of Performance)と呼ばれるエネルギー消費効率を確認します。この値が大きいほど効率のよい機器と言えます。使い方では、単身者などの在宅時間の短い場合は個別冷暖房(エアコン暖冷房、温水式床暖房+エアコン暖冷房)の間欠運転、SOHO(在宅勤務)や高齢者などの在宅時間が長い場合は、セントラル方式(セントラル暖冷房)の連続運転というように、ライフスタイルに合わせた機器選択も必要です。

■暖冷房設備計画(*)

●「換気設備計画」でエネルギー消費を削減

住宅内の空気環境を快適に保つ換気設備。窓を閉め切ったままでも、建築基準法で義務付けられているシックハウス対策の0.5回/h以上の換気量を確保するものです。
換気は、室内の空気を排出(排気)して、外の空気を取り込む(吸気)システムです。冬は冷たく、夏は暑い外気温度の空気が入ってくるため、直接、体に当たらないようにするなどの工夫も必要です。また、効率よく換気量を確保することは、換気にかかるエネルギー消費の削減になります。 例えば、ダクト式換気の場合は、ダクトの長さと曲がりを減らし、パイプファンの場合は、フィルターの汚れの付着を防ぐこまめな掃除なども効果的です。

■換気設備計画(*)

■ダクト配置計画の違い(*)

A:曲がりが多く長い無駄なダクティングの例

B:Aのダクトの長さ、曲がりを減らした例

●「給湯設備計画」で高まるエネルギー消費の削減効果

毎日の生活に欠かせない給湯設備。住宅内のエネルギー消費に占める割合が高いことから、効率の高い給湯設備を選択することで、エネルギー消費の削減効果が高まります。バスルームやキッチンなどのリフォーム時にも検討をしたい部分です。
世帯構成(使用人数)や使用状況によって設備の選び方は異なります。給湯箇所や同時使用、床暖房などで使用頻度が多い場合は、相応の機能を持つ設備を選びます。気になるイニシャルコストですが、ランニングコストの削減分も考慮しましょう。また、国や自治体などで導入に対する補助金制度もあります。

■給湯設備計画(*)

自然冷媒(CO2)を用いて効率的にお湯を沸かすことができるエコキュート。

●「照明設備計画」でより安全性と快適性もアップ

住宅内の光環境は、快適な暮らしの基本的な要素とも言えます。省エネルギーを実現しつつ、安全性と快適性をアップさせることも求められます。 住宅内の明るさや暗さは安全にも関係し、年齢などの個人差もあることから、光環境をコントロールできる機能付きの器具などを採用します。点滅・調光機能付きの照明器具や、一つの部屋に複数の照明で明るくする、多灯分散照明などの工夫でエネルギー消費を削減します。
例えば、リビングダイニングスペースの多灯分散照明では、テーブルの上、ソファ横のスタンド、ダウンライト、シーリングライトなどを導入することで、必要に応じて明るくしたい部分だけを明るく照らすことが可能です。電球では、白熱灯よりも蛍光灯に交換すれば、同じ明るさを保ちつつ省エネルギーです。

■照明設備計画(*)

必要に応じて明るくできる照明プランを。

●「高効率家電機器の導入」のポイント

給湯、エアコンに次いで、住宅内のエネルギー消費量の高いのが家電機器。冷蔵庫や温水暖房便座まで入れると、全体の約30%にものぼります。毎日使うものだからこそ、高効率の機器を選んでエネルギー消費を削減したいものです。
電力消費の高い家電機器は、最重点家電(冷蔵庫、テレビ、温水暖房便座)と重点家電(電気ポット、洗濯機)と位置付けられています。長時間使うものこそ検討したい家電です。買い替え時には、現在保有している製品と、購入しようとする製品の省エネルギー性能を比較することが欠かせません。その差が大きいほど、エネルギー消費の削減効果が高く、買い替えのメリットも高まります。

■高効率家電機器の導入(*)

毎日使うものこそ検討したい、高効率機器。。

●水と生ゴミの処理と効率的利用

地球環境に配慮した住まいづくりで欠かせないのが、水の有効活用と排水・生ゴミの処理です。水まわり設備に節水機器を導入するだけでもエネルギー消費の削減効果は高まります。
暑い季節は、雨水や排水の再利用水などを庭に散水して涼を感じたり、周囲の気温を下げる効果もあり、冷房エネルギー消費の削減につながります。生ゴミ処理では、コンポストやディスポーザー排水処理の採用で、ごみ減量化につながり、地球環境への負荷を軽減させることが可能です。

■水と生ゴミの処理と効率的利用(*)

※イラスト・図表(*)印の出典は、『自立循環型住宅への設計ガイドライン』(監修:国土交通省 国土技術政策総合研究所、独立行政法人 建築研究所、発行:財団法人 建築環境・省エネルギー機構)より抜粋し、作成したものです。
内容監修:澤地孝男氏(国土交通省 国土技術政策総合研究所 建築新技術研究官・工学博士)