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心を満たす癒しの空間づくり

2012年8月29日更新

住まいは、家族が安全に暮らし、健康で快適な暮らしを送れる場であると同時に、1日の疲れを取り、パワーを充電する場でもあります。そこで、住まいづくりの中でも欠かせない、癒される空間をつくるためのヒントをご紹介します。リフォームで、設備を上手に使って癒しの空間を実現しましょう。

1「癒される住まい」とは?

よい住まいとは、家族が安全・安心に暮らし、健康で快適な暮らしを送ることができる住まいです。
誰もが普段の生活の中で多少のストレスを抱えて暮らしています。わが家はそんな心身の疲れを解消できる居心地のいい「癒し」の場でありたいものです。わが家の「癒し」を妨げている原因は何か。どうしたら「癒される住まい」にすることができるのか。ご一緒に考えてみたいと思います。

そもそも“癒し”“癒される”とはどんなこと

“癒される”という感じは、人によって違います。
動物好きな人は、ペットと暮らすことで癒され、植物好きな人は、一輪の花や観葉植物で癒されます。また、無機質な広い空間にいることで癒される人もいます。“癒し”の感覚は人それぞれによって異なるものです。ですから、ここではすべての人に共通する癒しの定義として「心身ともに緊張が解け、ストレスを感じない」ことを“癒されている”と考えます。

動物は心地いい場所を知っている?!癒される空間さがしには、自分の五感に正直になることも大切。

「癒される」と「五感」のいい関係

人間は、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の「五感」と呼ばれる感覚から、外界の状態を読み取り、快適、不快など、様々な感情を生み出します。
これらの五感を快く刺激し、ストレスを感じさせない、できればストレスを取り去る環境が「癒される」空間であると考えられます。
五感ごとに緊張をほぐし、ストレスから解放させる具体例を考えてみると――。

視覚:部屋のトータルカラーや、小物など、自分が好きだと感じ、心が落ち着く色に囲まれて生活する。
聴覚:好きな音楽や、鳥のさえずりなど、リラックスできる音を生活に取り入れる。
臭覚:お香やアロマオイルで部屋の香りを演出する。いやな臭いを無くす。
味覚:栄養のある好きな料理を味わって食べる。
触覚:木や布など肌触りのやさしい小物に触れられるように身のまわりに置く。

――などが思い浮かびます。自分や家族の好みに合わせ、五感に響くように生活に取り入れることがポイントになります。
また、ひとりでいたい、みんなとくつろぎたいなど、人との関係の中で癒される環境は変わっていきます。家族の一人ひとりがお互いの気持ちを尊重する環境づくりも忘れてはならない要素です。

2癒しを妨げる原因を無くす

心地よいわが家にするためには、ストレスや不快に感じる原因を取り除くことが最初のステップです。まず室内の温度、湿度、空気の質、風の流れ(気流)、輻射熱などを総合的に調整して、快適な空気環境を実現します。

不快な空気環境を変える

●温度・湿度の調整

真夏の夜の寝苦しさを思い出すまでもなく、室温や湿度は居心地を左右する重要な要因の一つです。
部屋は一年を通して、適度な湿度を保つようにしたいものです。快適とされる湿度は50%前後と言われています。
湿度は、上がりすぎるとカビの発生のもととなります。夏、蒸し暑い日にぐったりと疲れてしまうのも、湿度による不快感が原因です。
湿気の多い水まわりや収納スペースの湿度調整には、換気を心掛けたり除湿機を置くなど、気配りが必要です。
個人差もありますが、冬にエアコンの風で埃が舞い、アレルゲンが部屋中に広がるのが気になるなら、空気をかき混ぜない床暖房がおすすめです。頭寒足熱で健康的な床暖房は、ゆったりとした気持ちにもしてくれます。

●空気の質もストレスの原因に

建材や内装材に含まれる化学物質の影響で、喉や目の痛み、吐き気、頭痛などの症状を訴える人がいます。有害物質を発生しない建材は、JAS、JISの規格で表示されていますから、確認しておくといいでしょう。また建材だけでなく、塗料や接着剤も揮発により空気中に有害なアレルゲンを浮遊させる原因となりますから十分な注意が必要です。

●部屋の空気の入れ換えも重要

淀んだ空気は、気分も滅入らせます。部屋の換気は、自然な換気のほか、換気システムなどの機械設備でも行えます。室内が乾燥しすぎる心配を考えれば、排気式よりも給・排気式をおすすめします。

●室内に風の通り道をつくる

プランニング段階でしたら、ぜひ風の道をつくることを考えてはどうでしょう。自然の風の心地よさには代えがたいものがあります。窓など通気に役立つ開口部を2か所以上設けて風の通り道をつくり、通気性をよくすることは快適の第一歩になります。

●自然のリズム「ゆらぎ」を取り入れる

人間の感性は自然と深い関わりがあります。自然界にある様々なリズムをゆらぎ(揺れ動き≒ゆらぎ)と言います。ゆらぎは自然界に多く存在する、小川のせせらぎ、鳥のさえずり、そよ風などの、心安らぐリズムです。快い状態で安静にしている時の脳波にも存在すると言われます。エアコンや扇風機などにも取り入れたものがありますから、積極的に利用するのもいいかもしれません。

床暖房は、部屋全体を暖めるので温度のムラが少なく快適に過ごせます。

防音対策をして、耳障りを無くす

心地よい響きに包まれるためには、騒音対策が必要です。
冷蔵庫、食器洗い乾燥機、洗濯機などの機械音は一般に耳障りな音となります。ホワイトノイズと呼ばれる耳にはっきり聞こえない周波数帯での雑音もストレスを与えます。
防音は、音の発生する機器自体への対策と、外から侵入する騒音対策に分けられます。室内では発生源そのものに振動を防ぐ処置をしたり、音の反響しにくい建材や、カーテンを選ぶなどでかなりの効果があります。環境を変えることで、心地よい音の響きに包まれるようにしたいものです。

音を吸音する壁材や天井材などを使用すると、よけいな音を吸収するので、快適な音環境が得られます。

3お気に入りの空間をつくる

一人でゆっくりと自分の時間を過ごす。誰にも邪魔されずに趣味に没頭する。癒しには、そんなイメージがあります。お気に入りのマイルーム、マイスペースで癒される空間を実現するのも素敵です。

あかりでつくる癒しの空間

あかりの使い方で、癒しの空間を演出することができます。リビングや居間などには、昼間は自然光が取り入れられる工夫をしたいものです。
照明設備は、部屋全体に明かりがいきわたる全般照明に加え、部分照明を組み合わせてみてはいかがでしょう。「1室複数灯」にすることで、明るさだけでなく、部屋全体の雰囲気が変わります。暮らしのシーンに合わせた照明演出ができれば、癒しの効果は格段にアップします。
例えば、ダイニングテーブルの上をペンダント照明にしたり、近くにスタンドライトを立てるだけで周囲との明暗の差ができ雰囲気が変化。食事のためのスペースから、お酒を飲んだり、好きな読書をしたりとくつろぎのスペースに変えることができます。

夜は間接照明やダウンライトの抑えたあかりにすることで、リラックスできます。

暖房の提案

癒しを妨げる要因として暑さ寒さを挙げましたが、暖房は方法によって積極的に癒しの空間を作るのに役立ちます。
空気を汚さず頭寒足熱の床暖房の快適さはもちろんのこと、暖炉や炬燵(こたつ)なども身を寄せるだけで、寒い冬の夜に温まるほんわかしたムードが伝わってきます。特に寒がりの人は、部屋全体を暖め過ぎると、他の家族に嫌がられたり、省エネにも逆行することになりますから、こうした 局所暖房器具を部屋全体の暖房と併用することをおすすめします。

掛け布団のない掘りごたつは、フローリングに設置しても違和感がありません。

キッチンの提案

家族の食事を用意するキッチンは、子どもに対する「食育」の場としての役割も担っています。キッチンを対面型やオープン型のスタイルにすることで、炊事をする人だけが孤立することなく、会話を楽しみながら家族が一緒に料理を作ったり、後片付けをしたりと、コミュニケーションを楽しみながら「食育」を実践できます。

みんなが一緒に参加できる開かれたキッチンは、「食」の楽しみを倍加させます。

バスルームの提案

体を洗う、温めるといったお風呂本来の役目だけでなく、ゆっくりとバスルームでリフレッシュ、リラクゼーションを楽しむといった癒しの機能が関心を集めています。ストレスで硬くなった心身を解きほぐすバスタイムは、明日への活力を生み出すために欠かせないものです。最近は、身体をゆっくり伸ばせる大きめのバスサイズが好まれ、浴槽内に微細気泡を放出するものや、霧状のシャワーで温まるものなど、様々な機能の浴槽、シャワーが開発されています。自分の好みに合った入浴スタイルを見つけてバスタイムを楽しみたいものです。
また、バスルーム内の照明を工夫したり、テレビや音楽などを楽しめるようにすることも、癒しの空間づくりに効果があります。バスルームという閉じられた空間だからこそ心置きなく自分を解きほぐすことができるのかもしれません。

だれにも邪魔されない自分だけの時間を持てるバスルームは、癒しの住まいづくりに欠かせません。

トイレの提案

トイレが落ち着くという人はよくいます。明治の文豪や高名な科学者の例を持ち出すまでもなく、トイレを発想の転換、黙想の場として利用する人も昔から多くいました。開放的な空間が特徴の昔ながらの日本家屋では、トイレだけが自分がひとりになれる空間であったためでしょう。
最近は、ラクに座れる便座が多くなり、収納やインテリアを工夫することで、トイレをくつろぎのスペースとして積極的に位置づける人が増えています。たとえ短時間でも、毎日決まって落ちつけるスペースがあることは、忙しい現代人にとって必要なことかもしれません。

長時間座っても疲れない便座と収納のあるトイレ。

シアタールーム(スペース)の提案

家族がみんなでくつろげるシアタールーム(スペース)は、気分転換を図り、日常のストレスから解放される大きな役目を果たします。高価だった視聴覚設備も大画面テレビの普及でぐっと身近なものになりました。好きな映画やコンサート、環境映像などのソフトも豊富です。プログラムに心置きなく集中するためにも、スペース全体のインテリア、照明や音響環境を整え、同時に騒音などで周囲に迷惑をかけないよう、トータルな環境づくりを心がけたいものです。

劇場の興奮、陶酔が味わえるホームシアターは、家庭に居ながらにして、非日常空間が味わえる絶好のリフレッシュスペース。

寝室の提案

眠りは、生活の基本です。安らかに眠れる環境こそ癒される住まいの最初の課題かもしれません。しかし、生活の24時間化が普通になり、不眠や眠りの浅さなどの悩みを持つ人も多くなりました。快適な眠りをもたらす寝室の環境づくりは、空気環境、防音、寝具、インテリアなど全般に及びます。

睡眠は心身を癒す基本です。設備もインテリアも工夫して、快適な寝室づくりを。

インテリアにも一工夫

壁、床、天井などの色や柄を工夫することで、印象はかなり変わります。部屋をゆったりと広く見せるよう、室内空間に置く物を検討し、配置にも気を配りましょう。見せる収納と隠す収納を分けて間仕切りなどを上手に取り入れるのも効果的です。
スペースを仕切る、目隠しにするというだけでなく、インテリアとして間仕切りや衝立、襖・障子など和風の物や、光を通す物、カラーの選べる物など、部屋の雰囲気や用途により、活用してみるのもよいでしょう。間仕切りは必要に応じてスペースも変えられますし、自分らしい空間が演出できます。
また、畳や天然素材を使った床材などは、見た目だけでなく肌触りでも落ち着きや、くつろぎを与えてくれます。

自然で開放的なリビングは、空間全体がやわらかく感じられます。

家具、小物で好きな居場所をつくる

動物がテリトリーをつくって暮らすように、私たち人間も自分らしい、自分が自由にできる空間が必要です。
家族みんなで使う住まいは、わが家といってもどこかで自分を抑えています。誰にも気兼ねせずに思い切り自分の趣味や好みを反映した家具や小物で、小さな自分の城をつくるのも、癒しにつながります。

自分のお気に入りを置くことで、その空間がより居心地がよく、くつろげるものになります。

音環境

音楽による環境の演出は、BGMという言葉でお馴染みです。住宅だけに限らず、あらゆる場所でその場を演出する音楽が流されています。目的は「仕事の効率アップ」「季節感の演出」など色々ありますが、最近脚光を浴びているのが、癒しの音楽です。シアタールームなどで大画面テレビを通じて流れる環境映像などは、視覚、聴覚両方からの癒しのアプローチと言えます。

BGMは、癒される空間づくりの中でも一番身近に行ってきたもの。好きな音をいい環境で聞くことが大切です。

4和のインテリアや自然を取り入れる

日本独特の季節感を生活に取り入れ、心を穏やかに保てる癒しの時を演出しましょう。

和をアクセントに取り入れた空間

ゆっくりと腰をおろす、ゴロンと寝転ぶなど、畳があることで、ほっとできる人も多いようです。和室のない住宅におすすめなのが、畳の収納ユニットの設置です。フローリングのリビングの一角に小さな畳の収納ユニットを置くだけで、洋の生活に小さな和の空間を取り入れられます。

腰掛けてもいいし、寝転んでもいい・・・。リビングに畳があるだけで、落ち着ける気がします。

グリーンの提案

リビング、玄関、寝室などに植物を置く家庭が増えています。「癒し」を意識しないまでも、自然の緑を身近に置いて落ち着きたいという気持ちの現れでしょう。
生け花のほかに花屋さんでシクラメンやミニバラなどの花鉢を買って置いたり、観葉植物を育てたり、水やりをするだけでも癒されるものです。最近は、かなり大きな観葉植物をレンタルできますから、ずっと育てる自信がない人は利用するといいかもしれません。

部屋にグリーンがあるだけで雰囲気が和みます。

ガーデンデッキの活用

ガーデンデッキなどを活用して、休日はデッキで食事、家族や、時には友人を招いてバーベキューパーティーをするなど、外気を吸いながらの食事は開放感というスパイスが加わり、いつも以上に美味しく、楽しく食事ができます。
スペースがあれば庭をつくり、リビングから続きのデッキとしたり、屋上ガーデニングや家庭菜園をつくるなど、人にも地球にもやさしい楽しみを見つけてみましょう。

開放感があり、気軽にいつでも使えるガーデンデッキは、リフレッシュの場として最適です。