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室内環境を快適にする空調設備の選び方

2004年11月更新

部屋の空気環境にこだわる人が増えています。高気密・高断熱の住宅やマンションなどでは、エネルギーのロスが少ないかわりに、室内の空気が入れ替わる回数が在来工法の家に比べて少なくなりがちです。冷暖房は効率よく、しかも空気の質はキレイに保ちたい。快適な室内環境にするためには、リフォームの早い段階で、住まいの特徴と、温度・湿度・空気の流れなどを考慮して空調設備を選ぶことが必要です。

こんなところに気をつけたい住まいの空気環境

快適に感じる室内の空気環境には、どのような条件があるのでしょうか。
まず思いつくのが、温度・湿度です。快適と感じる状態には個人差もありますが、一般的に気温18〜25℃、湿度40〜65%といわれています。それ以外には、室内の上下で温度に差があり、頭は暑く感じるのに足元が冷たく感じたり、隙間風なども不快な要因です。
また、リビングとトイレや廊下などの温度差も、不快さを招きます。
特に寒い季節のバスやトイレなどで気温が下がると、高齢者にはヒートショック※の原因になります。
また、空気に含まれるホコリ・花粉・臭いなどや、シックハウスの原因となるホルムアルデヒドなどの有害物質も気になります。窓の結露もカビなどの原因になります。

※ヒートショックとは、急に寒い場所にいったために、血圧が急激に変化することでショック症状がおこること。高齢者におきることが多いので気をつけたい。

快適な空気環境にするためには?

室内環境を快適にするためには、
(1) 温度調節(冷暖房)
(2) 湿度調節(ドライ・加湿)
(3) 空気清浄機能
(4) 換気
などの機能が必要になります。
具体的には、エアコン・加湿器・除湿機・空気清浄機・換気扇など様々な設備があります。今回の設備選びでは、使用する場面の多いエアコンと、高気密高断熱住宅に普及がすすんできた全館空調システムを中心にして、快適空気環境を考えてみましょう。

1快適な空気環境をつくるには?

快適な空気環境は、気温18〜25℃、湿度40〜65%。それ以上や以下になると、不快感を感じます。また、高温多湿の条件では、食中毒をおこしやすくなったり、寒い乾燥した空気では、カゼやインフルエンザなどの病気が発生しやすくなるのです。健康な生活のためにも、快適な空気環境にしたいですね。今すぐできる工夫をご紹介します。

窓からの日差しをコントロールする

住まいの冷暖房は、窓からの日差しに大きく影響されます。とりわけ、夏は日差しをうまく避ける工夫をしましょう。例えば・・・
・すだれやよしずで日差しを遮る
・アサガオなどのつる性の植物をカーテン状に栽培したり、日差しの当たる方向に樹木を植えます。落葉樹にすれば冬の日差しを遮らずに快適です。
・芝生を植えて、日光の照り返しを軽減する。
・カフェなどで見かけるオーニング(キャンバス地の日よけ)で直射日光を遮る。

よしず

アサガオ栽培

オーニング

部屋間を開放して空気を入れ換える

晴れた日には、部屋は閉め切ってしまわずドアやふすま、クローゼットなどを開放しておきましょう。部屋と部屋、また廊下などの間の温度差をなくすようにすると、ふだん使わない部屋の結露や壁面のカビもおさえられます。
押入れやクローゼットなどは、押し込まずスノコなどで空気の流れができるようにします。タンスや本棚など家具も壁から5cm程度離しておくようにすると、空気がよどみません。

家具

押入れ

空気を汚す原因をつくらない

エアコン・床暖房・電気ストーブ・ホットカーペットなど空気を汚さない暖房がベター。開放型の石油ストーブやファンヒーターなどの暖房器具は、燃焼ガスを放出するので、部屋の空気を汚してしまいます。
キッチンでは、ガス調理器具よりもIHクッキングヒーターが燃焼ガスや調理の煙や水蒸気を出さない点でおすすめです。
喫煙も臭いや有害物質の原因になります。

湿度対策には植物も効果があります

観葉植物や生け花などの植物も、湿度対策に効果的です。サボテンは湿度を吸収するので、除湿効果がありますし、乾燥をやわらげたいときには広口の花瓶などに花を活けると、加湿効果があります。

サボテン

いけ花

温度計でチェックする習慣を

リビングなど家族がいつも使う部屋には、温湿度計を常備しましょう。快適な気温・湿度を保つことは、家族の健康管理にも一役かいます。また、暖めすぎ・冷え過ぎを防ぐことから、省エネにも繋がります。

2在来工法・高気密高断熱の住宅に適した空調設備

空調設備選びに大きく影響するのが、住宅の工法です。在来工法では部屋ごとに、高気密高断熱住宅では、家じゅうまるごと冷暖房するように考えるとよいでしょう。

在来工法の住宅は部屋に応じた空調設備を

在来工法の住宅は、柱や梁で骨組を作り、壁をつけます。建材や工法自体、気密性がそれほど高くないので、冷暖房はそれぞれの部屋ごとに考えるのが基本です。
ドアや窓などの開口部以外からも空気が入れ換わります。そこで、大きな能力のエアコンで複数の部屋を冷暖房することは、効率も悪く、費用もかかってしまいます。部屋の面積に応じた能力のエアコンを各部屋に設置し、必要に応じて運転させるのがよいでしょう。高齢者がいる場合には、冬期の部屋間の気温差が大きくならないように配慮します。

■在来工法

エネルギーが失われやすい

高気密高断熱住宅に適した空調設備

高気密高断熱の住宅とは、断熱性に優れた建材を用い、断熱材を天井・壁・床下に充填するなどして、住宅内の保温性や保冷性を高めた家です。ですから、冷暖房の熱が外部へ逃げてしまうロスが少なく、効率良く冷暖房をすることができます。ただし、気密性が高い分、汚れた空気を計画的に入れ換えをする必要があります。住宅をまるごと一つの部屋と考えて、全館冷暖房を考えると、快適性も経済性もアップします。

■高気密高断熱住宅

エネルギーのロスが少ない

3ここまで進化しているエアコンの機能

エアコンのタイプや機能は、多種多様です。省エネなどコスト面での効率化はもちろん、空気清浄機能やエアコン内部のセルフクリーニングなど、さまざまな機能を備えたエアコンが開発されています。買い替えや新築、設置する場所など、適したものを選択しましょう。

エアコンのタイプ

エアコンは室内機・室外機とそれを結ぶダクトで構成されています。エアコンはさまざまなタイプがあります。

壁掛け型 もっとも一般的なエアコンのタイプです。新築時・買い替え時どちらでも設置でき、部屋の広さに応じて様々なタイプが発売されています。設置場所も比較的自由に選べます。
コーナー型 天井の一角に設置するエアコン。インテリア性が高く、風向の自由度などから人気。設置する場所が壁掛けよりも制限されます。
床置き式 床に直接置きます。壁面への工事が不要です。また、壁掛け式などに比べて温風が低い位置から出るので、部屋の温度ムラが少ないなどのメリットがあります。
窓設置型 窓にはめ込むタイプなので、壁面への工事が不要です。場所を選ばずに設置できます。
ビルトインタイプ 壁面や天井にエアコンの本体を埋め込むので、室内がすっきりします。インテリア性が高いのがメリット。壁面や天井に工事が必要なので、新築時に設計段階から組み込むのがよいでしょう。
マルチエアコン 一台の室外機で、複数の室内機を可動させることができます。室外機の置き場所が少ない場合に重宝します。また、室内機が複数でもコンセントが20Aでよいので、エアコン専用ブレーカーの個数をおさえることができます。

エアコンの機能

冷暖房以外に、様々な機能が開発されています。購入時には、比較して必要な機能のエアコンを選択しましょう。

除湿 湿度と気温に応じて除湿します。梅雨時など肌寒いときに冷え過ぎないような機能を備えたものもあります。
加湿 温めるだけでは乾燥するので、加湿機能を備えたものもあります。
空気清浄機能 空気中のホコリ、花粉、ニオイ、ホルムアルデヒドなど有害物質をキャッチします。
除菌 空気中の細菌やウイルスを、イオンや紫外線などの作用で除菌・不活化します。
換気 従来はエアコンは室内の空気を循環させるだけでしたが、汚れた空気を排気したり、新鮮な空気を取り入れる機能を持つものが開発されています。
セルフクリーン 内部の熱交換器周辺のカビや汚れは、業者に依頼しなければ無理でしたが、内部をセルフクリーニングして排出する機能を持つタイプも出てきました。
快適機能 酸素やマイナスイオン、ハーブの成分、ビタミン成分など様々な快適、リフレッシュ機能を備えた機種もあります。

4全館空調システム、2.4時間換気システム

高気密高断熱住宅に適したな空調設備に、全館空調システムや24時間換気システムがあります。それぞれの部屋だけでなく、廊下やバス、2階の部屋まですべてに効率良く冷暖房された空気を行き渡らせることができます。快適さと健康、省エネなどメリットの多い空調設備です。

全館空調システム、24時間換気システムのメリット

全館空調システムとは、家全体の冷暖房、除湿などを行うシステムです。24時間換気システムは、冷暖房、除湿に加えて計画換気(吸気・排気)まで行うもので、家の空気環境をまるごと管理するシステムとも言えます。
これらの方法は各部屋や廊下などの空気の流れを計算し、効率良くシステムが働くように設計します。ですから新築住宅で設計時から組み込む必要があります。

メリットは
・季節や時間に関わらず年間を通して室内の空気環境が安定する
・部屋間の温度差が少ない
・室内の上下の温度むらが少ない
・結露しにくい
・花粉症などの予防
などが挙げられます。

気をつけないといけないことは、自然換気がほとんどない高気密高断熱住宅なので、システムは常時運転します。冷暖房をつけてすぐに室温が快適になるわけではないので、室温を維持するのに運転を続けます。また、排気ガスを出すストーブやファンヒーターは使わないなどの注意も必要です。喫煙など空気が汚れる場合には、熱交換型換気扇を設置します。※
また、台所、浴室、トイレなど煙、湿度、ニオイを発生しやすい場所にはそれぞれ局所換気を取り付ける必要があります。

※熱交換型換気扇とは、汚れた空気を排気する際に、その空気の熱を逃さずに、取り入れる冷たい外気を温めてから排気するタイプのもの。暖房の熱を効率良く利用できる。熱回収型とも呼ぶ。

部屋も室外機もスッキリ

室内に空気を吸込み、吹出しを行うのは、ちいさなグリル部分から。インテリアを損なわず、すっきりしたデザインです。冷暖房の室外機もわずか1〜2台に集約。場所をとらず、すっきりと置くことが出来ます。

改正建築基準法で24時間換気を義務付け

シックハウス症候群を防ぐために、建築基準法が改正されました。2003年7月から、すべての新築の建物に換気設備を設置するように定められています。24時間換気システムでも、0.5回/h(1時間に部屋の空気が半分入れ替わる)以上の換気が必要です。

地域の気候によって最適なシステムを選ぶ

全館空調システムや24時間換気システムは、住宅の気密性・断熱性・冷房時の日射遮へい性(日差しをさえぎる性能)が大きく影響します。温暖な地域ではヒートポンプ方式の冷暖房(いわゆる一般的な冷媒を用いたエアコン)で。寒冷地では暖房に温水ボイラーを用いるなど、気候や建物の構造に対応させます。

■気候に適した低暖房システム