茶の湯の精神の基本は「客をもてなす」こと。これは利休の時代からもまったく変わらないことです。しかし、当時はたとえ点前の作法が完璧で、奥を極めたとされる人であっても“新しいもてなし”ができなければ茶人として認められることはありませんでした。
つまり新しいものを自分の中から生み出すことを「デザイン」と呼ぶとするなら、それはまさに『もてなしのデザイン』。茶の湯文化の繁栄は、優れた茶人によるそんな作意があったからこそのものだと思います。
いまここに生れた「はなさび」のあかりにも、かつての茶人たちが見せたような新しい作意がなければならないと考えています。もちろん美しい形だけでなく、もてなしや空間の質を高めるためのものとしての機能、例えば快適さ・便利さなども必要でしょう。さらに、精神的なゆとりに通じる適度な遊び心もほしいところです。あかりが担うもてなしの“伝統”を「守」り、“概念”を「破」り、遂には新たな世界を創造する「離」へと…。
〈茶美会〉の志に相通じるそんなあかりが、照明の「文化」として必ずや高く評価されることを確信しています。
「茶美会(さびえ)」は、裏千家十六代家元千宗室氏の実弟で伊住政和氏(1958-2003)が提唱した活動体。茶の湯の精神を原点に「もてなしのデザイン」「五感のプロデュース」をテーマとして、現代に新しい生活文化を提案しています。国内外で活動しているデザイナーやアーティストと手を結び、衣食住におけるさまざまなアイテムを企画制作。 また食のブランド「式亭」のプロデュース、インターネットの「和の学校」で日本文化を発信するなど活動は多彩です。
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