第1回 トークセッションイベント@大阪

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[私の建築流儀]本当にいいモノは世代を超えて支持される。

Archi-spec TOI発売3周年とケイミュー株式会社のリサイクル内装ボードSOLIDO[ソリド]の発売を記念して、3名の建築家によるトークセッションイベントを、グランフロント大阪うめきたSHIPホールで開催しました。
後世に残る建築物(住宅)を世におくりだす建築家の方々にとって、「世代を超えて支持される」住宅とはどのようなものなのか。第一線で活躍中のプレゼンターによる三者三様の視点、論点から、その建築家ならではの独自性であったり、建築の普遍性を「私の建築流儀」として語っていただきました。
※掲載内容は、2017年11月10日現在の情報です。

PRESENTATION



PRESENTATION

「美しさは正直な素材から…」彦根 明

写真:彦根 明 写真:彦根 明

PROFILE

彦根 明 Akira Hikone
1962年、埼玉県生まれ。株式会社彦根建築設計事務所代表。住む人の生き方、暮らし方に合った家を提案し続けている。著書「最高に美しい住宅をつくる方法」は建築家のバイブル的な書として好評。
http://www.a-h-architects.com/


メーカーの姿勢に感動

パナソニックとケイミュー、両社の工場に見学に行く機会があり、そこで商品企画の方から聞いたお話にちょっと感動してしまいました。その方が、ある設計事務所を訪問した際に、日本の景観を損なわせているのはサイディングだ、と言われたと。で、持参したサイディングボードについて、加工している表側ではなく裏側なら使うと、セメント板なんだからセメントの顔をした方を使いたい、と、そう言われたそうです。その言葉を真に受けてと言っちゃうと失礼ながら、本当に真面目に受け止めて、開発に進めたというんですね。我々のような設計事務所が手がける住宅なんて、住宅全体のシェアからするととても少ない。でも、設計事務所の視点・論点を真摯に受け止め、大メーカーが開発に乗り出した。このお話をお聞きしてから、私の中でメーカーに対する考え方が変わりました。

時間の経過とともにきれいに朽ちていくモノ

私の建築流儀、という大上段に構えたテーマになっています。先ほどのセメント板ならセメント板として使いたいということと関係していますが、私の「美しさは正直な素材から…」というテーマもその部分を意識しています。フェイク、最近ですとリアルフェイクというものがあり、本物と見分けがつかないものがドンドンと出てくるんですが、フェイクなので時間の経過とともにきれいに朽ちていくというモノではありませんよね。それは、素材の特性が無くなってしまっていて、何か命を奪われているように感じます。あらためて自分の使っている部材を見ると、やはり美しく朽ちていく、そういうものに心惹かれますね。
(プレゼンテーションより抜粋)

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響き合いを創りだす、素材・かたち・空間について/長谷川 順持

写真:長谷川 順持 写真:長谷川 順持

PROFILE

長谷川 順持 Junji Hasegawa
1962年、神奈川県生まれ。長谷川建築デザインオフィス株式会社代表。建築家 吉田桂二氏に師事し、伝統的木造による住宅建築の設計に多数携わる。古建築の研究を通して、独自の建築論を構築。工法など知的所有権多数。「とっておき住宅デザイン図鑑」などの著書も好評。
http://interactive-concept.co.jp/


素材をリアルに感じるのはいつ?

響きあい、という言葉が最近気になっていて、素材と素材が響きあって、とか、素材とかたちが響きあって、とか、そういうことで印象的な空間が成り立っているんじゃないかと思うんです。何かと何かが響きあって、そこで成立している。単体で成立しているのではないと思うんですね。設計のプロセスでエスキース、あるいはスケッチをした時に、平面で立体で、あるいは模型でというふうに進めていきますが、そのどの段階で素材というものがリアルに感じられているでしょう?おそらく、現場に入ってからではないかと思います。でも、私は設計のごく初期の段階から素材というものにフィーチャーして取り組むことがあります。

素材でありながら、同時にかたちでもある

建築で素材感を抽出するという作業が、その後半部であったり現場に入ってからということが多いわけですが、例えば彫刻などは後から素材感を与えているわけではなくって、この石ということを前提に掘り出してみたり、円空菩薩像なんかは、この木というものの中にある魂のようなものを掘り出してみたりとかしています。まさに、素材でありながら、同時にかたちでもあるわけです。建築以外のアートの分野では、その素材というものが自明に存在していて、そこに対してアプローチをしています。建築においてもそこに迫っていきたいなと考えています。例えば、南木曽の小径木だけを使って家を作ろうというプロジェクトを紹介します。いわゆる間伐材で9cm角の角材が取れるものです。この9cmの角材は家の主構造に使うものではないのですが、この9cm角材だけで家を作ってみようという試みです。しかも、セルフビルドで。みんなで挑戦することで、建前まではアマチュアだけで成し遂げられました。構造の特許も取得し、今では多角形のものも創ることができます。これなんかは、まさにエコにもつながる間伐材という素材しばりの実例です。
(プレゼンテーションより抜粋)

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住宅の開口部と軒先の設計について/横内 敏人

写真:横内 敏人 写真:横内 敏人

PROFILE

横内 敏人 Toshihito Yokouchi
1954年、山梨県生まれ。有限会社横内敏人建築設計事務所代表。東京藝術大学建築科卒。マサチューセッツ工科大学建築学科大学院修了。前川國男建築設計事務所にて勤務後、1991年、横内敏人建築設計事務所設立。自然と呼応する家づくりを目指し、住宅設計・10のコンセプトを基本に住宅設計を手がける。受賞歴多数。
http://yokouchi-t.com/


奈良は建築の都、京都は庭園の都

住宅を設計する時に何に気を配っているかというと、そのほとんどが美しい屋根をどのようにして掛けるか、ということ。それと、開口部の設計。あとは軒先、軒内、軒下。その空間をどのように美しくするか、そのことばかりを考えている気がします。法隆寺の五重塔、垂直に伸びる建物ですが屋根を重ねた造形になっている。日本の建築の歴史は、いかに屋根を創るか、という歴史でもあると思っています。東大寺の南大門しかり、雨が多い日本で、躯体を雨から守るにはどのように屋根を掛けるか。京都のお寺なんかは軒先を伸ばす、その軒先からさらに庭園が続いていく、という庭園文化が残っています。建築があって庭園があって、そこに軒下、いわゆる中でもない外でもないという空間が生まれて、そこに人が集まる。これこそ日本の建築の魅力だと思っいて、伝統的な日本建築の魅力を現代の住宅に反映できないかということを常に考えています。

中から軒裏を美しく見せる工夫

現代の椅子とテーブルの生活であっても、日本建築の魅力を注入したい。お寺の場合は開口部の建具を全部取り払ってしまっていますが、住宅ではそういうわけにいきません。開口部の設計がとても重要になってきます。建具の開け閉めもそうだし、断熱ということも必要です。それと中から外を眺めた時の美しさ。家と庭の自然な連続性を実現するために建具やブラインドの納め方を工夫しています。建具はあるが、フルに開口できる工夫。ブラインドを用いることで、障子のような役目を果たし断熱効果があることも実証済みです。軒内がそのまま家の中のような気持ちの良い空間が生まれます。庭との連続性、そのために軒裏を綺麗にということで、そういう観点から、本来は軒先には雨樋をつけないほうが綺麗なのですが、都市部ではそういうわけにもいきませんから、Archi-spec TOIを採用しています。屋根と一体化するので、雨樋がついていることに気づかないし、縦樋も細いので目立たないというところが気に入っています。Archi-spec TOIの施工は繊細なところがあって、美人だけれど性格が悪いというような面もありますが、軒先を美しく納めるためによく使っています。
(プレゼンテーションより抜粋)

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