商品を支える舞台裏 薄型Q-hiファン


従来比3分の2のスリム化を、半年で達成せよ!


薄形Q-hiファン開発担当者 : 林 英樹

市場の好評を背景に、さらなるインパクトを持った商品を

2004年4月。先年に発売した「Q-hiファン(同時給排形24時間換気扇)」Vタイプの好評を受け、社内では、さらに同業他社に大きく差をつけ得る商品を連打しようという機運が盛り上がっていた。そのためには通常のモデルチェンジの概念を遥かに越える、画期的なセールスポイントが求められる。度重なる議論を経て決められたターゲットは、「徹底的なスリム化」。現行モデルの厚み155ミリを、一気に3分の2以下、100ミリを切る厚みにできないか。これが薄形Q-hiファン開発プロジェクトのスタートだった。




薄形Q-hiファン内部構造

高いハードル、厳しいリミット。指名されたのは負けず嫌いの若い技術者

林英樹がそのプロジェクトを一任されたのは、入社5年目、29歳のときだった。これについて林はこう語る。「若い私が指名されたのは、過去の発想とは違う何かを期待されたのだと思いました。後にも先にもこんな大きな仕事は回ってこないのでは、と緊張しましたね」。もともと負けず嫌いを自認する林は、なんとかその期待に応えたいという一心で取り組んだという。だが与えられた開発期間はわずか半年。従来は着手してから発売まで、1機種あたり7~8か月のリードタイムを費やしていたこと、そして今回の開発ターゲットレベルを考えると、そのハードルの高さは尋常ではなかった。


 

苦闘する林を支えた、各部門スタッフの高い士気

林を悩ませた要素はまだあった。「薄くするという最大目標に加えて、低騒音・低消費電力、さらにはフィルターの性能を上げて能力も向上させよう、と自分で自分の首を絞めるような欲張った結果を目指したんです」。そうなると、モータは新しく設計しなければならないし、羽根も従来品の流用では済まなくなってくる。それらを効率良く組み込むためには、当然デザイン部門にも創意工夫が求められた。部門間の調整に追われながらも、林を支えたのはスタッフ全員の士気の高さだったという。「他社の追随を許さないよう、ここで一気に差を開くぞ、という気概に皆が燃えていましたね」。




初期の3Dスケッチと完成品の写真

執拗に繰り返した試作の結果、ついに開発ターゲットをクリア

時間に追われる中でも、林はとことん試作を繰り返した。新開発された小型のコンデンサモーター(φ48モーター)と、薄型で高性能の羽根をうまく本体に組み込み、ようやく納得のいくものができたのは、試作8号機目でのことだったという。「あの短い期間の中でやり遂げられたのは、全部門スタッフの努力はもちろんですが、3D-CADの力も大きいですね」。企画初期から何度も描かれたスケッチ類も、すべて自らがCADに向かって作ったものだ。「四六時中、商品の構造ばかり考えていました。そこまで考えないと良いアイデアは出ないもんですね」と林。こうして2004年10月、ついに薄形Q-hiファンは発売された。「エアコンと並んだ時にもマッチするというデザイン性が、市場からかなりの評価をいただきました」。全力で駆け抜けた半年間の努力が報われた林は、当時を振り返ってこう語る。「まだ若い技術者に、あれだけ大きなチャンスを与えてもらえたことを今でも感謝していますよ」。

2006年2月公開
※本ページの内容は掲載当時のものです。社名や組織名など現在とは異なる場合がございますのでご了承ください。

Panasonicの住まい・くらし SNSアカウント

  • すむすむ公式 Facebook
  • すむすむ公式 X
  • すむすむ公式 Instagram
  • すむすむ公式 LINE
  • すむすむ公式 Youtube